水産業の未来をつくろう。一緒に。

水産業の未来をつくろう。一緒に。

2015年7月にスタートしたTRITON PROJECT。

手探りではじまったこのプロジェクトも、ひとり、またひとりと仲間が増え、たくさんの人に支えられながら、この夏5周年を迎えることができました。

現在までに来た問い合わせは約250件。誕生した新人漁師の数は約40名。
そのうち半数の若者が各浜で就業を続けており、新規参入者が漁業権を取得することはまだまだ難しいと言われる中、正組合員1名、准組合員2名が誕生しています。

「担い手」と呼ばれる新人漁師たちの中に、親族が漁師だったという若者はいません。海のない県から漁師に憧れてやってきた若者もいます。

本当に続くんだろうか。
すぐ嫌になって帰ってしまうのではないか。

「よそ者」を受け入れることは、漁師たちにとっても大きな挑戦でした。
地域にとってもこれまで前例がなく、色眼鏡で彼らを見る人もたくさんいました。
それでも彼らは諦めることなく、毎日浜に通い、元気に挨拶をし続けました。

この5年、各浜で積み上げ得たものは、彼ら若者のもつ可能性そのものです。

そして、「漁師になりたい」「漁師ってすごい」と、目を輝かせながら日々の仕事に取り組む彼らを見ているうちに、「まだまだ頑張らなきゃな」と、地域の漁師たちの後ろ姿がほんの少し若返ったような気がしています。

「担い手」の凄さは、そんな小さな異変をあちこちの浜で起こしているということ。
彼ら一人ひとりが、地域の行く末、そして水産業の未来を変える原動力であるのです。

ここで、私たちのTRITON PROJECTに欠かせないパートナーを改めて紹介します。
漁師のマネージャーともいえる、漁協職員の皆さんです。

日々さまざまな仕事に追われる漁協職員ですが、「漁師がいなければ漁協は成り立たない!」と、宮城県漁協石巻地区支所が事業連携してくださったことを皮切りに、石巻湾支所、石巻市東部支所、雄勝町雄勝湾支所、寄磯前網支所と協力してくださる支所が増えてきました。

漁師への事業説明からはじまり、求人作成、就業までのサポート、TRITON SCHOOLなどの開催、就業後の見守り役と、新人漁師の育成のために奔走。
もちろん、うまくいくことばかりではありません。
失敗したことも、悔しい思いをしたことも、たくさんあります。
それでも、どんなときでも漁業者の側に立ち続け、「よかった」と一緒に言えるように日々励まし続けてくれているのです。

最近では、若手職員が担い手事業のプレイヤーとして活躍中。よそからくる若者にとっては、なんでも話せる「お兄ちゃん」的存在になりつつあります。

5月某日。撮影会開催

先日、TRITON PROJECTに関わる面々が、石巻魚市場近くの港に集合しました。
手には漁具、長靴、愛用のカッパ。
周囲の釣り客から何事かと注目を浴びます。

実はこの日、TRITON PROJECT5周年を記念して、事業として初めて集合写真を撮影することになったのです!
手探りではじまったプロジェクトが、こうしてひとつの形にできることは、とても喜ばしいこと。もちろん完全なる全員集合ではありませんが、普段別々の浜で働く新人漁師や親方漁師、漁協職員が大集合しました。

「おー久しぶり」
「今日何やるんだっけ?」
「写真撮るんだってよ」
「写真いつもいっぱい撮ってんじゃん」

まるで文化祭前のような。
ワクワク、そわそわ。
そんな会話があちこちで飛び交います。

撮影をするのは、事業をずっと見守り続け、いつも素敵な写真を撮ってくださるカメラマンの平井慶祐さん(何気にTRITON JOB初登場!)。

「みなさん今日はお集まりいただいてありがとうございます!わざわざ集まって撮るのって大変なんですけど、わざわざ集まることに意味があると思うので、素敵な集合写真にしましょう!もっともっとTRITON PROJECTの輪が広がっていくように!よろしくおねがいします!」

平井さんの掛け声で撮影がスタート。

まずは担い手、親方、漁協職員、フィッシャーマン・ジャパンの事務局スタッフ、全員で記念撮影です(トップ写真参照)。こうしてみんなで撮ると、事業が広がったなぁとしみじみ実感します。

続いて、少し人数を減らして選抜メンバーで撮影。こちらもいい感じです!


横幅3mあるTRITON PROJECTの旗ですが、実はとっても重いんです……!

担い手・三浦くんの船の進水式で使った縁起物の竹をリユースさせてもらいました。

よーく見ると、漁具ではなく、なぜか筋トレ器具を持たされる三浦くん……
そんな遊び心ある演出も、それぞれの個性を知り尽くした平井さんならでは。

撮影の合間には、ホットドックやおやつをパクパクもぐもぐ。
久々に会う仲間、初めましての仲間と、おしゃべりしながら、撮影チームにヤジを飛ばします。

同じ石巻市内と言ってもなかなか顔を合わすことがない彼ら。
それでもひとたび顔を合わせれば、「仲間」として語りあえるから不思議です。

ある新人漁師は言います。
「頻繁に会うわけじゃないんだけど、やっぱり仲間という意識がすごく強い。ああ、あいつも頑張ってるんだなって思うと励みになる」

浜を超え、魚種を超え、語り合える仲間がいるからこそ、TRITON PROJECTはチームとして結束を増しています。

例えば、狩野くん(写真左)と小倉くんは、高卒ルーキー同士。
年は3つ違いますが、「漁師になりたい」という思いで高校3年生のときから石巻に通い続けたというのは一緒。
根性があると周りからも評判のふたりには、不思議な共通点があります。

例えば、吉岡くん(写真左)と吉井くん。
こちらの二人は、海なし県の群馬県出身。大卒組です。
吉岡くんは水産仲卸人の見習いとして働いていますが、先日漁師の現場が見たいと、吉井くんの親方の船に乗せてもらいました。
そんな繋がりを持てるのも、TRITON PROJECTならでは。

和やかなムードで撮影は進み、ラストは担い手のみ、そして担い手+漁協職員の組み合わせでフレッシュな集合写真を撮影。

「漁師ってカッコいいな」と思って飛び込んできた担い手たちが、今度は「カッコいい」と思ってもらえる立場を目指して。

もちろん、彼らの写真が伝えるのは、カッコよさだけではありません。

この写真の中には、元証券マンや元アパレル店員、大卒、高卒、通信制の高校に通う現役の学生もいます。出身も、大阪、岡山、東京、愛知、福島、群馬、山形、そして地元・石巻とさまざま。

誰しもが「フィッシャーマン」になれるという、無限の可能性を物語ってくれているのです。

理想の星を目指して

5年前のTRITON PROJECTの発足をお知らせするプレスリリースに、こんなことが書かれています。

ここから水産業の形を変え、今まで想像もしなかった未来に向かっていきます。
海という宇宙で理想の星を目指す。
そんな人たちが集まる場所だから、海の神様であり、海王星の衛星でもある「トリトン」という名前をつけました。
海から始まる新しい冒険の物語に、あなたも参加しませんか。

まだ未ぬ新しい仲間とともに。
私たちはこれからも、未来に向かって走り続けます。

水産業の未来をつくろう。一緒に。

July.2020

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