【漁師入門】漁師の仕事の種類を教えて!

「漁師になりたい!」と誰かに相談したとき、まずはじめに聞かれるのが、どんな漁業をやりたいかということです。
わかりやすく、まずは2択で考えてみましょう。
漁師の仕事をざっくり分けるとしたら、「獲る」か「育てる」かです。

◎獲る漁業=漁船漁業
天然に生育している魚海藻類を獲る漁業

◎育てる漁業=養殖漁業
漁業者が魚海藻類をつくり育てる漁業


一般的な漁師のイメージといえば、海の上で豪快に魚を獲る姿。
日本の「漁獲量」のほとんどを占めるのは漁船漁業です。大間のマグロやカツオの一本釣りなど、男のロマンを追いかけるテレビ番組もあるので、多くの人が漁師=漁船漁業というイメージを抱いてるのではないでしょうか。
しかし「漁獲額」で見てみると、養殖漁の比率がぐんとあがりますから、どちらの仕事も私たちの食卓を支える大切な存在ということがわかります。

漁船か養殖か。
悩めるあなたのために、たくさんの若者をサポートしてきた中で私たちが考える、それぞれの仕事のタイプをここでは紹介したいと思います。

寝ても覚めても魚が好き▶︎▶︎▶︎漁船漁業タイプ

漁船漁業は四季折々に魚を狙う、天性のハンターです。
一に根性、二に根性。狙った獲物は逃がしません!

海にいる時間や網あげまでの「待つ」時間も長いため、ジッと我慢する強い精神力とハードな仕事にも耐えられる体力が必要です。大きな船になるほど(その分航海期間も長くなります)高収入を得られますので、それを励みに頑張っている人もたくさんいます。

心と体の強靭さはもとより、漁船漁業の仕事は常にチーム戦の仕事です。
協調性が必要なのはもちろんのこと、その場の状況を判断しながら行動する考察力も必要となります。
数日間かけて行う漁船漁業の場合は、他の乗組員と一緒に寝食を共にしますので、周囲への気遣いと合わせて、神経質になりすぎない鈍感力も必要なのではないでしょうか。

好きなものは好き。やりたいことは目一杯やる。
いつも考えがブレない、一途な人に向いていると思います。

成長を見届けるのが好き▶︎▶︎▶︎養殖漁業タイプ

自分で一から手がけ収穫までを見届ける、育てのスペシャリスト。
メダカ、朝顔、野菜、カブトムシ。
とりあえずなんでも育ててみたくなる人、育てるのが好きな人に向いています。

漁船漁業よりも地味に思われがちですが、自分で手をかけた分が水揚げ量(額)に影響するので、そこにやり甲斐を見い出せる仕事。養殖漁師は常に「自分の育てたものが一番!」と自信を持って言えるように、愛情と誇りを持ちながら仕事に励んでいます。

陸上での作業も多く、同じ作業を何時間と繰り返すこともあるので根気強さが必要です。また、日々の海産物の成長を見守るのが仕事なので、ちょっとした異変に気づける観察力もあると良いでしょう。

仕事自体は魚種や時期にもよりますが、朝から日中まで(遅くても夕方まで)という仕事のサイクルが多いので、趣味や家族との時間も比較的取りやすいです。
養殖漁業では、浜の人とのコミュケーションも必須なので、挨拶や日々の雑談、お手伝いなどを苦としない人懐っこさが求められます。
郷に入っては郷に従え。
なんでも楽しい方向に捉え、溶け込もうとする適応能力があると無敵です。

大きく4つ。日本の漁業。

それでも漁船、養殖、どちらを選んだらいいかわからない!という場合は、ぜひ両方の現場を見てみましょう。
沿岸部で漁業を営む漁師の中には、1年の仕事のサイクルの中で、両方を上手に組み合わせて行っている漁師もいます。そういった漁師のもとでまずは色々学んでみるというのも、ひとつの手かもしれません。

続いて、漁師の仕事場である海で、漁業を分けてみましょう。
海域で見てみると、漁業は大きく4つに分けられます。

内水面漁業

湖や沼、川で行う漁業。
漁獲物は、サケやマス、アユ、ワカサギ、エビ、ウナギ、シジミなど。
人工池やため池などでニジマスやコイなどの養殖も行われています。
内水面漁業は周囲の環境や水質などの影響を受けやすいため、盛んに行われている地域=魚が住むのに適したきれいな水や環境が残っている地域といえます。
\POINT/
・船の大きさは10t以下の小型船
・代表選手は、投網(とあみ)、地引き網、養殖など。

沿岸漁業

日本の漁師の多くが営んでいる漁業。
浜から比較的近い漁場で行われるため、日帰りが基本です。
家族経営で行っていることが多く、獲る魚、育てるものの種類は季節や地域によってさまざま。
親潮と黒潮がぶつかりる三陸沿岸は、海面付近から海底まで魚の種類が豊富なため、豊富な種類の魚を漁獲することができます。
\POINT/
・船の大きさ10t以下の小型船
・代表選手は、養殖、定置網漁、まき網漁、底引き網漁、釣り漁、刺し網漁、カゴ漁など
・沿岸漁家の漁労所得:273万円(一見少なく感じますが、全年齢層の平均です。65歳以上の沿岸漁業者が実のところたくさんいます!)※平成30年農林水産省調べ

沖合(近海)漁業

沿岸漁業と遠洋漁業の中間規模の漁業で、日本の200海里水域内で操業。
日本の総漁獲量の過半数を占めています。
漁獲する魚は、アジ、イワシ、サバ、カツオ、スケソウダラ、サンマ、イカなど私たちの食卓におなじみのものばかり。漁の日数は漁船の規模や魚の種類によって異なり、数日〜数週間とさまざまです。群で回遊する魚を狙うまき網漁では、数隻でチームを組んで操業することもあります。
\POINT/
・船の大きさは、10t以上の中・大型船
・代表選手は、まき網漁、サンマ棒受け網漁、底引き網漁業、イカ釣り漁など
・宮城県年収例(初任給):近海マグロ漁 約380万円 ※歩合給含む

遠洋漁業

赤道直下の南太平洋や南アフリカ沖など世界の海で漁を行うため、船上生活はおおむね50日から1年にも及びます。
1隻に20名以上が乗船し、漁船も大型であることから、人件費や食料、燃料費にも多くの経費がかかります。近年各国が漁業のできる海域を制限し、日本の船が自由に魚を獲ることが難しくなり、漁獲量は減ってきてしまっています。
\POINT/
・遠洋マグロ船は200〜500t、遠洋カツオ船は400〜500tと大きな船
・遠洋漁業の代表選手は、遠洋底引き網漁業、遠洋カツオ一本釣り漁、遠洋マグロはえ縄漁
・宮城県年収例(初任給):遠洋マグロはえ縄漁 約360万〜450万円 ※歩合給含む

これら4つの仕事を、経営体で考えることもできます。

沿岸漁業は家族経営が多いので、個人に弟子入りするという間隔に近いですし(会社になっているのであればまた別です)、沖合・遠洋漁業は、水産会社が船員を雇って漁を行っていますので、大きな会社の中の一員として働くことになります。

漁師の仕事は、実に多種多様。地域によっても、さまざまな仕事や特性があります。

自分に合う働き方を見つけるために、まずは漁師と話をしたり、仕事を体験させてもらうことをおすすめします。

海のことに興味を持ったら、いつでも「TEAM TRITON」にご相談ください。

チームTRITON石巻
チームTRITON気仙沼

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