海の上に浮かんでいるのは、船だけではありません。
気をつけて見てみると、実にいろいろなものが浮かんでいます。
その道具が一体何に使われているものか。
正確にはその浜の漁師に聞かなければわかりませんが、道具の使い方を知っていれば「なんとなく」想像することができます。
代表的なものが、タマと呼ばれる丸い浮き具です。
オレンジや黄色、ピンクと比較的カラフルなものが多く、海だけではなく浜辺でたくさん積み上げられたタマを見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。
タマが海の上で一定の感覚で並んでいる場合は、ホヤやホタテなどの養殖物が下にあります。もちろん漁船漁業でも、網を設置するときなどに使いますので、漁師にとっては欠かせない道具のひとつです。
続いては、こちら。
タマよりも大きくて楕円形のものは、牡蠣樽(カキダル、タル)と呼ばれています。
牡蠣やワカメなど、比較的重たい養殖物を育てるのに使われることが多く、石巻では牡蠣養殖が盛んな牡鹿半島の海でよく見られます。
基地のような多角形の枠組みは、海の上につくられた生簀(いけす)です。
生簀もいろいろな種類があります。
足場や構造が比較的シンプルなものは、獲った魚を活かしておく生簀。
養殖の生簀の場合は、足場がかなり頑丈につくられています(複数人が乗って作業することが多いため)。
このような生簀を見かけたら、その地域でどんな魚の養殖がされているのか、聞いてみるとよいでしょう。ちなみに宮城県は銀鮭の生産量日本一です。
まるで点線で囲んだようないびつな仕掛けは、定置網。
この小さな浮き玉をアバと呼びます。
定置網は魚が入ってくる導線をつくるため、いびつな形にするのが重要。
形を維持するために多方向にアンカーを取っており、アバは網を仕掛けるための外枠の役割を果たしています。
最後は、浮き玉の上についた旗。
これをボンデンと言います。
この旗は、刺し網や仕掛けたカゴなど、漁師さんの目印となっています。
漁具は、アバ、ボンデンなど、聞きなれない名前もたくさんあります。
そしてややこしいことに、地域や漁師によって呼び方が異なることもあります。
まずは漁具の名前を一つひとつ覚え、何のために、どうやって使われているかを知りましょう。
気をつけて海を見渡してみると、その海がどんな海なのか、どれくらい利用されているものなのかも、自ずと見えてきますよ。