知りたい!ホヤ養殖のすべて

知りたい!ホヤ養殖のすべて

「伊達政宗が美味いと言った」
「海のパイナップル」
「甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの味覚をすべてもつ」

そんな言葉をつけられて紹介される海の幸ーホヤ。
皆さん、ご存知ですか。

ご存知ない方、もう一度上の画像を見てください!

 

何これ?岩?貝?植物?
一見、植物のようでもありますが、実はホヤ、原索動物(一生のうちに、終生もしくは一時的に脊索を有する動物)の仲間。祖先をたどれば、脊椎動物である人間に近いんです。

他にも、ホヤには面白い特徴があります。「これまで発見されているホヤの種類は1500種以上」とか「ホヤを食べた後に水を飲むと甘い」とか。実は私たちが普段食べているのは、マボヤとアカホヤなどたった数種類。そして、ホヤを食べると甘いのは、ホヤに含まれるグリシンとアラニンという成分の関係だそう。

まだまだホヤの豆知識はありますが、ここからは本題のホヤ養殖のお話へ。

時期ごとの作業に分けてお話していきますが、まずは、育て始めから出荷までの流れをご覧ください!

え、出荷するのに3年以上かかるの ?!
そうなんです。出荷まで少なくとも丸3年はかかるんです。
一緒に知られざるホヤ養殖の作業を見ていきましょう。

 

(0年目) 12月ーホヤの赤ちゃん、ゲットだぜ!

ホヤは宮城や北海道など各地で養殖されていますが、その生まれ故郷は石巻であることがほとんど。石巻の中でも鮫浦湾は、ホヤの赤ちゃんを捕まえることができる数少ない場所として有名です。

「ホヤの赤ちゃんを捕まえる」ことを「採苗」と呼びます。採苗が始まるのは12月頃。この時期になると、海に住む大人のホヤが産卵し始めます。

ホヤは雌雄同体(しゆうどうたい)といって、一個のホヤから卵子と精子のどちらも産むことができます。しかし、同じ個体の卵子と精子がくっつくことはなく、必ず他の個体の精子か卵子と受精する仕組みになっています。不思議……。できた受精卵は、オタマジャクシのような形にまで成長していきます。そして、なんと、このオタマジャクシ、泳ぐんです。潮に流されながらも、固着できるような場所を泳いで探します。

この時に採苗が行われます。ホヤの産卵時期になると、漁師さんは大量の牡蠣殻のなかから大きめのものを選び、穴を開けて、1.5メートルの長さのロープを差し込んでいきます。

牡蠣殻が連なった束を海に投下し、ホヤの赤ちゃんが牡蠣殻にくっつくのを待ちます。1月頃までには採苗は完了。その後半年かけて、ホヤの赤ちゃんがマッチ棒の頭ほどの大きさにまで成長するのを見守ります。

地域によっては、牡蠣殻ではなく、パームと呼ばれているロープで採苗を行う地域もあるそうです。このような採苗方法を「天然採苗」と言います。海水温を管理しながら採苗する「人工採苗」を行う地域もあります。

 

(1年目) 8月ー大きくなったホヤ、旅立ちの時

マッチ棒の頭くらいの大きさまで育ったホヤは、一度海から上げられ、採苗をしていない地域に「ホヤ種」として出荷されます。出荷は8月から約2ヶ月かけて行われるそう。

ホヤ種の出荷が終わると、ここからがホヤ養殖の本番。採苗した時のままの状態だと、牡蠣殻の間隔が狭すぎてうまく成長しないので、別のロープに間隔を広げ、挟み込んでいきます。この作業を「種はさみ」「ホヤ種の分散」と言います。

間隔を広げるのは、ホヤが大食いだから。牡蠣の3倍のプランクトンを食べるのだとか。密集させすぎると、プランクトンが足りなくなり、大きく育ちません。

種はさみが終わると、ロープをもう一度海に垂らし、成長を見守ります。ホヤはゆっくりと時間をかけて育ちます。1年では約1cmほどの大きさにしか育ちませんが、2年で約4、5cmぐらいの大きさになり、そこから成長スピードが加速します。4年子として出荷する頃には15cmくらいの大きさに成長します。長い歳月をかけて、ホヤは栄養をぎっしりと詰め込み、真っ赤な殻を纏っていきます。

ホヤ成長の様子。3年かけて大きくなっていく。

しかし、この間ホヤ漁師はただ成長を待っているわけではありません。ヘラのような道具を使って筏につくフジツボやムール貝を削ぎ落としたり、筏につけた浮き玉の数を調整したりします。全ては筏の浮き具合のため。ホヤは繊細な動物なので、海水温やプランクトンの関係で海からの深さにとても敏感です。ただ、繊細であるがゆえに、筏のいじりすぎもホヤのストレスになり、良くありません。ホヤの声を聞きながら漁師たちは仕事をしているとか。

そして、ある程度ホヤが大きくなると、栄養分がより豊富な沖にホヤを運んでいきます。この作業を「沖だし」と言います。

 

(4年目) 2〜11月ー待ちに待った水揚げの時期!

ホヤの赤ちゃんを捕まえてから、ちょうど丸3年。いよいよ水揚げです。ホヤは2〜11月と比較的水揚げ期間は長いですが、6〜8月が旬と言われ、繁忙期。旬を迎えたホヤは海の栄養をたくさん吸収し、1年のうちで最大の大きさになります。繁忙期は、深夜に出港することもあります。なぜそんな真夜中に?と思いますが、取り引きする水産加工会社、消費者の都合に合わせるとどうしても朝早く出港することになるそう。

飲食店で、お客さんがホヤを食べる時間を夕方から夜とすると、加工業者はその時間に間に合うように加工しないといけません。そうすると、加工業者が浜にホヤを取りに来るのが朝7時ごろ。漁師はそれまでにホヤの水揚げを終えていなければならないわけです。

ホヤは鮮度が命。海産物の中でもとりわけ鮮度が落ちやすく、すぐに独特の臭いを放ち始めます。臭いが強くなる原因は温度や体に溜まっている糞。そのため、水揚げ後すぐ冷やし込んだり、一晩寝かせることで糞抜きをしたりする漁師もいます。他にも、剝き身や蒸しホヤとして加工することで、鮮度を損なわないような工夫をしています。

今、私たちが食べているホヤは、漁師たちが3年以上の月日をかけて育て、深夜に船を出し、一生懸命水揚げしてきたもの。そう思うとホヤを見る目が変わってきませんか。

 

ホヤ漁師の抱える課題

3年以上かけて育ったホヤ。暦の上では、足掛け4年に渡って養殖されるので、4年子と呼ばれています。中には1年早く3年子で出荷したり、5年子で出荷されるホヤもあるそう。

これまでは東北や海外で広く食べられてきましたが、震災の影響を受け、韓国への輸出が難しくなった今、国内の販路開拓が急がれています。最近では、ホヤに含まれるプラズマローゲンという成分が認知症に効くと言われていたり、鮮度維持技術が向上したことで東北以外でも様々な料理に使われるなど、今まさに注目の海産物です。

現在、4年子や5年子の中でも大きなホヤが美味しいと言われており、小さなホヤは売り物にならないことがほとんど。しかし、牡蠣では小さいものが好きな人がいるように、ホヤの認知度が広がっていけば、いろんな好みが出てくるはずです。そのためにはホヤを全国に広めていく必要があります。

ホヤを育て、売ることは決して楽なことではありません。けれど、震災や様々な課題を乗り越え、力強く、立ち向かう漁師たちの姿がここにはあります。

宮城県、そして東北を代表する海産物ホヤ。その味わいのように知れば知るほどクセになるはず。一緒に知られざるホヤの世界を、楽しんでみませんか?

 

※養殖方法や育てる年数は地域や個人によって異なります。この記事は宮城県石巻市(主に谷川エリア)でホヤ養殖に携わる漁師の協力のもと作成しました。

 

ホヤを食べてみたい人はこちら▶︎▶︎▶︎
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ホヤの捌き方はこちら▶︎▶︎▶︎
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ホヤ漁師になってみたい人はこちら▶︎▶︎▶︎
https://job.fishermanjapan.com/job/2619/

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