第3回 TRITON SCHOOL×牡鹿漁師学校ー銀鮭養殖編ー

第3回 TRITON SCHOOL×牡鹿漁師学校ー銀鮭養殖編ー

漁業に興味を持つ若者に向けた1泊2日の短期研修プログラム「TRITON SCHOOL×牡鹿漁師学校−銀鮭養殖編−」が、2017年7月に開催されました。

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運営にあたったのは、フィッシャーマン・ジャパンと石巻市、牡鹿漁師学校を運営する筑波大学の貝島研究室、そして宮城県漁業協同組合雄勝町雄勝湾支所です。

美しい雄勝湾を舞台に、講師として熱い授業を繰り広げるのは、もちろん現役の漁師。夏空のもと開かれた漁師学校「銀鮭養殖編」の様子をレポートします。

 

7/1(1日目)

まずは、石巻駅で待ち合わせ。
下は10代から上は30代までと、比較的若い方に申し込みをいただき、総勢5名で漁師学校がスタートしました。遠くは東京、大阪からの参戦です。

石巻駅から会場の雄勝までは車で約40分。
車内にて石巻の漁業のことや、今回体験する銀鮭養殖のことなどを勉強します。

余談になりますが、「漁師になりたい!」という方へ教材としてお渡ししているのが、「石巻百漁」という漁業の教科書。この1冊に石巻の漁業のことがギュギュッとつまっています。

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参加者を乗せたバスは、緑豊かな山々に囲まれた雄勝湾に到着。
湖のように静かで美しい内海は、山からの恩恵を受け、ミネラル分を豊富に含んでいます。銀鮭のほかにもホタテやホヤ、牡蠣などの養殖が盛んな地域です。

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さっそく漁師の戦闘服(カッパ&長靴)に着替えますが・・・初めて着用するため、着方から教わります。

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今回講師を務めてくださったのが、雄勝町小島で銀鮭とホタテの養殖を営む佐藤一さん。若手漁師のリーダー的存在です。

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この日も軽快なトークで、参加者の緊張をほぐしてくれました。
楽しい雰囲気で授業がスタート!

 

まずは船で銀鮭の養殖生簀へ向かい、生簀の樽の手入れから。
足を使って樽を半周させ、付着した貝や海藻などを海面に出すことで死滅させるそうなのですが・・・足場が不安定ということもあり、悪戦苦闘。

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樽を繋いでいるロープの緩みも直します。

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このようにメンテナンスをきちんと行うのも、漁師にとって大事なお仕事です。

 

海から戻ってきて、小休止。
昼食は、地元の食堂で海鮮丼をいただきました!

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雄勝の海の幸に舌鼓を打ちながら、漁師という仕事について、あれこれ質問が飛び交います。
実際に漁師の生の声を聞けるのも、漁師学校の醍醐味です。

 

午後からは、再び海へ。
銀鮭の餌やりを体験します。

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餌は「ペレット」と呼ばれる乾燥飼料。
以前は生餌を与えていましたが、餌の改良が進み、乾燥飼料となったことで生臭くない、おいしい銀鮭の養殖が可能になったそうです。

銀鮭の出荷は春先〜7月頃まで。
生育を見ながら、朝と夕方の1日2回、欠かさずに餌やりを行います。大きな生簀に満遍なく餌を撒かなければならず、なかなかの重労働です。

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「餌のやり方にムラがあると、食いつきも悪くなるよー」
という佐藤さんの言葉に、焦る一同。

餌を装置に入れる人、ちりとりで撒く人など、みんなでローテーションを組みながら、無事、餌やり終了。

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浜へ戻り、今度はロープワークの授業です。
漁師の仕事で必要となる基本のロープ結びを習います。

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何度も何度も繰り返して、体に覚えこませます。

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途中から地元漁師の鈴木晃喜さん、雄勝湾地区の運営委員長でもある阿部賢市朗さんも先生として登場!

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結ぶ

 

1日目の作業を終え、宿泊先の全勝旅館へ。
佐藤さんから提供してもらった銀鮭を、女将さんがきれいに捌いてくださいました。

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お風呂で1日の汗を流した参加者が、宴会会場へ集合。
待ちに待った、夕食の時間です!
銀鮭はもちろんのこと、ホヤやウニ、クジラなど、地元の海の幸がズラリ!!

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おいしい食事に舌鼓を打ちながら、地元漁師を交え、楽しい夜を過ごしました。

 

 

7/2(2日目)

早起きも漁師の仕事!この日は朝5時出航です。
小雨の降る中、銀鮭の餌やりからスタート。

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要領をつかんだのか、手馴れたもの。

餌やりの合間には、佐藤さんの計らいで釣りもさせてもらいました(大漁!)。みんな嬉しそう。

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浜で朝ごはんのおにぎりを食べ、今度はホヤの採苗用のロープ作りに挑戦。縄を三つ編みに編んでいきます。

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三つ編み

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震災後、雄勝町立浜で独自の販売ルートを確保し、生産から加工・販売まで手がけている末永陽市さんから、6次産業に関してのお話も伺いました。
加工から販売まで自分で手がけているということもあり、みんな興味深々です。

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そして、漁師学校のハイライト。
活魚船への銀鮭の受け渡しを見学。

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・・・のはずが。

 

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全員強制でお手伝い!!
思いがけず、貴重な体験ができました。

嵐のようにやってきて、嵐のように去っていく活魚船を見送り、海を後にします。

 

最後は漁協にて、2日間の漁師学校のまとめ作業。

ワークショップを行いました。

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今後5年間を見据え、どのように漁師としてやっていくか、アドバイスをもらいながら、計画を立てていきます。

 

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委員長

 

こうして5人それぞれの漁師設計が完成し、1泊2日の漁師学校が終了しました。

最後は全員で記念撮影。

 

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いつの日かまたこの海で、みなさんにお会いできるのを楽しみにしています!!

(文・撮影=高橋由季)

 

 

 

*漁師学校・後日談*

今回の漁師学校に参加した三浦くんが、講師を務めた佐藤さんのもとに弟子入りしました!新米漁師として、日々奮闘しています。

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漁師学校を振り返って

雄勝湾支所として今回初めて引き受けた1泊2日での漁師学校。
研修にきたメンバーを見ての率直な感想は「若いな!」でした。しかし、研修を受ける眼差しは真剣そのもので、頼もしさも感じました。

当日の朝に急遽スケジュールを変更するハプニングもありましたが、現場と調整しながら、さまざまな漁師の仕事を体験してもらうことができたのはよかったかなと思います。

今回の漁師学校後に就業してくれたメンバーが現れたこともとても嬉しいことです。この事業を進めて行くうえでの課題も浮き彫りになってきたので、今後も関係各所と連携を図りながら、未来の漁師の育成の一助を担っていけたらと考えています。

(宮城県漁業協同組合
雄勝湾支所長/阿部貴之)

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一般の人向けに漁業体験をやることはあっても、漁師になりたいという人たちを対象に教えるのは初めてのこと。1泊2日のスケジュールの中で、いかに漁業の楽しさや辛さを伝えることができるか……いつもやっている作業に加え、初心者でも取り組みやすい作業内容をあれこれ考えて臨みました。みんなやる気があって、教えて甲斐がありましたね。今後も漁業に関して興味を持ち続けてくれたらいいなと思います。

漁師学校を通じて、受講生のひとりが就業することに決まりましたが、思っていた以上にやる気を見せてくれています。学ぼうという姿を見て、教える側としても張り合いを持って日々過ごしています。今後彼が一人前になって、独立できるように見守っていきたいと思います。
(漁師/佐藤 一)

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漁師になりたいという思いはあったものの、何をどうしていいかわからず、今回の漁師学校に参加しました。そこで出会ったのが、漁師の佐藤さんです。佐藤さんのもとで働きたい!と思い、漁師学校の1か月後に再び石巻にやって来ました。正直、そのときは直感が大きかったんですけど(笑)。でもやっぱり、直感は間違っていなかったというか、自分の理想とする漁師さんのもとで働ける喜びを今、実感しています。
まだまだ覚えることがたくさんあって大変ですが、毎日が充実していて、仕事にやりがいを感じています。まずはこの場所でたくさんのことを学びながら、一人前の漁師になるべく、頑張っていきたいです。

(漁師見習い/三浦大輝)

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