第4回 牡鹿漁師学校×TRITON SCHOOLー牡蠣養殖編ー

第4回 牡鹿漁師学校×TRITON SCHOOLー牡蠣養殖編ー

1泊2日の短期漁業研修プログラム「牡鹿漁師学校×TRITON SCHOOL–牡蠣養殖編–」が、2017年11月に、牡鹿半島の鹿立地区(宮城県漁協石巻市東部支所)で行われました。

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この漁師学校は、漁師になりたい!漁師の仕事を知りたい!という思いを持つ人の“きっかけの場”として、フィッシャーマン・ジャパンと石巻市、牡鹿漁師学校を運営する筑波大学の貝島研究室、そして宮城県漁業協同組合によって開催しているものです。

2017年度は計3回の漁師学校を開催。
今年度2回目となる漁師学校は、関東圏を中心に参加者6名を迎え、今まさに最盛期を迎える牡蠣養殖の現場にて行われました。
リアルな現場で、活気に溢れた漁師学校の様子をご紹介します。


11/17
(1日目)

石巻駅に集合した一行は、バスに揺られ牡鹿半島へ。

宮城県の北東部にある牡鹿半島は、太平洋側に南東に向かって突き出した部分。リアス式海岸特有の変化に富んだ海岸線が続く、漁業の盛んな地域です。くねくねとした山道のカーブをいくつも越え、午前10時30分過ぎに、会場の鹿立屋敷に到着。

牡蠣処理場では、お昼の出荷に合わせ、黙々と牡蠣剥きが行われていました!!

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今回メイン講師を務めてくれたのが、宮城県漁協石巻市東部支所の運営委員長でもある牡蠣漁師の石森裕治さん。

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こ、怖い・・・笑

大きな声と、その迫力に思わず背筋が伸びます。

でも石森さん、実は茶目っ気たっぷりの愛されキャラクター!

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今回忙しい合間を縫って、2日間講師を引き受けてくれました。

石森さんのいる鹿立屋敷では、7世帯すべてが牡蠣養殖を営んでいます。現在は若い世代も活躍中。牡蠣剥きの時期には女性の手も欠かせません。猫の手も借りたいほどの忙しさだそうです。

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牡蠣剥き動画

参加者はカッパに着替え、さっそく牡蠣剥き場のお手伝いに入ります。

 

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牡蠣がいっぱいに入った万丈籠を作業台にあげたり、剥き終わった牡蠣の殻を集めたり・・・これが地味にきつい!
それでも、皆さんのお仕事を効率良く進めるためには重要なお仕事。
汗を流しながら、みんなでお手伝いをしました。

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息をつく間も無く、次から次へとボウルが牡蠣でいっぱいに!
熟練の技に驚くばかり。
明日の牡蠣剥き体験に先駆けて、牡蠣剥きを教えてもらう生徒の姿も・・・笑

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午後は牡蠣の水揚げに同行するため、急いで昼食をとります。
牡蠣漁師はこの時期、ゆっくりお昼を食べている暇もないそうです(3秒で食べろ!と急かされる・・・笑)。

ご飯を食べ終え、参加者とスタッフは6艘の船に別れて、いざ出航!

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この地域では、波の荒い外海で牡蠣を育てています。
荒波に鍛えられた牡蠣は、身が大きく、ぷりっと引きしまっており、味も濃厚です。

波が荒いので(それでもこの日は凪だったそう)しっかり踏ん張りながら、作業のお手伝い。

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ドラム式の洗浄機で付着物や汚れを取り除いた牡蠣。
カゴがいっぱいになったら交換します(やっぱり重い!)。
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牡蠣水揚げ

波で揺れる船の上で、カゴを運ぶのは重労働。緊張感が走ります。
のちにアンケートをとったところ、この水揚げ作業がしんどかったという生徒が多数いました。それでも、船いっぱいに積んだ牡蠣を乗せて浜に戻る心地よさは格別です!

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まだ作業が終わらない船にちょっかいを出しつつ(笑)、帰港。
お互いが良きライバルですが、震災以降はより仲間としての結束力も強まったそう。
困ったことがあると、いつも先輩漁師が飛んできてくれるそうです。

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そして、水揚げに連れて行ってくれた地元漁師・文人さんの計らいで、急遽タコカゴをあげに再び海へ。
スケジュールにないスペシャルメニューまで飛び出してしまうのも、漁師学校ならではのお楽しみです!

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立派なタコをゲット(翌日の昼食の差し入れにいただきました!)。

その後、同じく漁師の祐介さんに船を出してもらい、牡蠣の赤ちゃんを見学しに出航。

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普段、ほかの漁師の船には乗る機会がないので、石森さんなんだか嬉しそうです(笑)。

牡蠣の赤ちゃんってどんななのかな?とみんな興味深々ですが・・・

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こ、これは・・・

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ホタテ・・・?!

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実は牡蠣の赤ちゃんは、“傍にあるものにくっつく”という習性があります。そのため、こうしてホタテの貝殻を利用して育てるのだそうです。生育の様子は青年部が顕微鏡でこまめに観察を行います。
牡蠣の赤ちゃんが付着したホタテは、浅瀬に設けた抑制棚で、潮の満ち引きなどで抵抗力をつけながら育てていき、強い種だけを残していきます。それから2年かけて立派な牡蠣に育てあげるのです!
ちなみにホヤは牡蠣の貝殻で赤ちゃんを育てます。面白いですよね。

 

さて、陽もすっかり傾きかけたところで、宿泊先の割烹民宿「めぐろ」へ。待ちに待った夕食の時間です。

豪華な海の幸がズラリ!!

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今日一日指導にあたってくださった、石森さんや柳橋さんのほか、となりの浜の牡蠣漁師・一弘さんも参加してくださいました。

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一弘さんは、県外から移住して漁師を目指す若者を受け入れている一人です。おいしい海の幸に舌鼓を打ちながら、それぞれの漁業に対する思いを、熱く語りあい、宴は夜遅くまで続きました。

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11/182日目)

この日も快晴!

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今日は、牡蠣の出荷がお休みなので、牡蠣処理場をお借りし、参加者自身が牡蠣剥きに挑戦します。

昨日は、寿司を握っているような速さ(笑)を、ただただ見ているしかなかった一行ですが、今日はゆっくり、丁寧に教えてもらいます。

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「こうやって、こっからグッとナイフ入れて、クッと起こして、スパッと貝柱を切って・・・」

指導に熱が入るほど、効果音が多くなる石森さん(笑)。

見よう見まねで挑戦。

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少しでも身に傷がついたり、牡蠣の殻が入ってしまえば、商品価値はなくなってしまいます。

慎重かつ丁寧に牡蠣を剥いていきます。

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コツをつかんできたら、少しずつスピードをあげて・・・それでもやっぱり難しい!うまくできたり、できなかったりを繰り返しながら、ボウルいっぱいに牡蠣を剥きました。

殻磨きも体験。
石巻市では剥き牡蠣として出荷することがほとんどなのですが、殻付き牡蠣として出荷するときは、漁師さんが一つ一つ付着物をきれいに取り除いて出荷しているんです!

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あれこれと賑やかに作業をしていると、お休みのはずの漁師も集まってきました。心配そうに作業の様子を見守ります。

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そして、差し入れでいただいた、穴子やつぶ貝のさばき方教室も開催(こちらもスケジュールになかった特別メニュー!)。石森さんが豪快かつ器用に捌いていきます。

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そして、浜での最後の授業はロープワーク。

「なにかひとつでも覚えて帰って」と、漁師の仕事で欠かせない結び方を次々とレクチャー。

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お昼は、先ほどみんなで剥いた牡蠣を使った牡蠣汁、そして今が旬の生海苔を使った海苔汁が振舞われました!

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そして、一生懸命磨いた牡蠣や、差し入れにいただいた穴子、雄勝のホタテなどが豪華に並んだ浜BBQを開催!

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昨日のタコカゴで獲ったタコや、つぶ貝もいただきました。

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「漁師になったらいつでもこういうの食べれるからな!」
あれも食えーこれも食えーと、忙しく言われながら、みんなで漁師BBQを堪能しました。

 

 

お腹もいっぱいになった午後からは、2日間を振り返るワークショップです。

まずは牡蠣の育て方をもう一度おさらい。

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そして、石巻市での担い手育成事業のお話なども紹介させてもらいました。県外から石巻に飛び込んで漁師を志す若者のお話に、みんな興味津々です。

 

この2日間、漁師の仕事の厳しさ、そしてやり甲斐やおもしろさも堪能した一行。いろいろな漁師と触れ合って、その人柄や生き様にも影響を受けました。

今度は参加者自身が考える番です。

自分がどんな漁師になりたいのか、そのために何をすべきなのか・・・アドバイスを受けながら、これからの自分の設計を考えていきます。

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最後は1人ずつ発表。
個性豊かな漁師設計が完成し、石森さんからアドバイスと激励の言葉が飛びます。

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「頑張ったら頑張った分、返ってくる。それが漁師だ」

 

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大先輩の言葉を胸に、2日間の漁師学校が無事終了。
最後は修了証書とともに記念撮影です。

そして参加者を乗せたバスをスタッフ全員でお見送り。

「この中から1人でもいい。漁師になってくれたらうれしいね」

静かになった浜に、大きな独り言が響きました。

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次回漁師学校は、2018年2月17、18日(土・日)開催です。
皆様のご参加お待ちしております!
https://job.fishermanjapan.com/event/942/

(写真=高橋由季、佐藤布武/文=高橋由季)

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