若者が切磋琢磨しあえる浜を創りたい。そのために俺は若い漁師を育て続ける。

若者が切磋琢磨しあえる浜を創りたい。そのために俺は若い漁師を育て続ける。

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宮城県牡鹿半島の真ん中に位置する荻浜。穏やかな内湾で、山からの沢水が豊富に注がれるこの海では、牡蠣の養殖が盛んに行われています。牡蠣の養殖筏を岸から沖に出す「沖だし」と呼ばれる作業が終わり、閑散期にあたる7月。お話を聞くために荻浜を訪ねました。

浜に到着しても漁師さんの姿が見えません。電話をかけてみると、

「ごめん、海出ちまってる。もう少しで帰れっから」

海での仕事が長引いているとの連絡が。閑散期であっても、筏の掃除をしたりと何かしらの仕事はあるよう。

30分ほど経ち、海から帰ってきたのは、渡辺悟さん、息子の良介さん、県外から漁師を志し就業した小倉祐太さん。基本的に3人で船に乗り、牡蠣養殖、ワカメの養殖、漁船漁業を営んでいますが、今年からまた若い漁師を1人増やしたいと考えています。荻浜の支部長を務める悟さんが考える荻浜の漁業の未来とは。お話を伺いました。

 「今」に適応した漁業の形

悟さんの漁は時期によって仕事内容が大きく変わります。10〜2月は牡蠣養殖の繁忙期。水揚げや牡蠣剥き、出荷を行います。4〜9月は種はさみという、牡蠣の幼生が付着したホタテの貝殻をロープにはさみこむ作業やロープの手入れをします。さらに、3〜5月にはワカメの収穫、7〜9月はカゴ漁業でアナゴを獲るなど、ほぼ一年中、作業があります。

「俺のところは、時期に合わせていろんなことをやってるんだ。ワカメの養殖は今年からの取り組み。これからは、加工品の製造や販売も考えたい」

そう意気込む悟さんですが、決して万事好調なわけではありません。ワカメの養殖を始めたのも、小女子(コウナゴ)の不漁が続いているから。自然相手の仕事のため、漁業の方法を少しずつ変えて順応していくしかないと言います。

他にも問題があります。メインでやっている牡蠣養殖の繁忙期は、牡蠣剥きが大半の作業時間を占めます。人手が必要な作業のため、親戚や知り合いをたくさん呼んでいました。

 「これまではいとこやはとこが近くに住んでいたから、季節限定で手伝いに来てくれた。都会に移住したりする親戚が増えつつある今、それが難しくなる。若い人を育てなくては、浜から人が減っていくばかりだ」

新たな漁業への対応と人材不足の解消。これを早くから考えていた悟さんは、外からやって来た若者を積極的に受け入れ、地域の漁師として育成をしています。

者で溢れている浜がいい

小倉さんが漁師になりたいと愛知県からやって来たのは、2016年夏のこと。当時高校3年生だった小倉さんは、夏休み、冬休みを利用し、悟さんのもとに通い続けました。

「最初は続かないんじゃないかと思っていたさ。船酔いもすごいし、都会育ちの人がいきなり漁村で漁師になるのはハードルが高い。でもあいつは頑張ってるな。打たれ強いよ」

高校卒業後、小倉さんが悟さんのもとで働き始めて今年で4年目になります。良介さんにとっても小倉さんの存在は大きいと言います。

 「実は、俺は親父と違って、新しく人を入れることに抵抗があったんだ。教えないといけないことが増えるし、今のままでも十分やっていけるんじゃないかって思っていたから。でも実際に小倉が来て、仕事をどんどん覚えて、頼り甲斐も出てきた。今では、こいつ、タメ口を聞いてくるまでになりやがった(笑)」

息子である良介さんもまだ31歳。そのまま漁師になるのではなく、一度、浜から出たこともあり、周りの漁師とも積極的に交流します。アドバイスや意見をはっきり伝え、周りを引っ張る良介さんは、漁協職員からも頼りにされる存在となっています。

30代の良介さん、20代の小倉さんと、悟さんのもとには十分若者がいるように思えますが、さらに若者を募集する理由を悟さんはこう語ります。

「若者が1人2人増えただけじゃダメなんだ。浜が若者で溢れるくらいにならないと。俺らは、若い奴らに優しく接することはできる。でも、話が合うのも、ライバルになれるのも若者同士だけなんだ」

表には出さなくとも、「あいつには負けられない」という気持ちは漁師ならば誰もが持っているもの。しかし、同世代の人がいなければ、その思いを持つことすらできないと語ります。

「周りに人がいなくなると、自然と仕事もダメになっていくよ。切磋琢磨しあえるやつがいなくなるんだから」

悟さんは東日本大震災後、浜から漁師が減っていくのを見て、それを痛感したと言います。浜から人がいなくなり、残った漁師さえ、やる気を失ってしまうのではないかと誰よりも心配していた悟さん。

「同世代がいたら、やっぱり楽しいよ。俺の周りには同世代が多いから。人がいねえのは寂しい」

だからこそ、1人でも多く若者を増やし、活気に満ちた浜にしたいと考えています。

大変な仕事もある。でも楽しさが勝る。

「うちは甘いのかな?」

どうして小倉さんは長く働けているのでしょうか、と尋ねると笑って、そう答えてくれました。漁師になりたいと言っていても、体力的な問題などでやめてしまう人が多い漁業の仕事。小倉さんのような存在はとても貴重です。

海での作業、時には大声が出るときもあるでしょう。それでも、ここで働きたいと思える魅力は何なのでしょうか。小倉さんは言います。

「周りの人が優しいからかな。悟さん、良介さんは仕事中のほうが優しいくらいなんだ。できない仕事は丁寧に教えてくれる。悟さんのお母さんも、よく話しかけてくれたり、ご飯を用意したりしてくれる。仕事自体はしんどいこともあるんだけど、この人たちに囲まれてやる仕事は楽しいんだよな。あとは、他の浜に比べて若い人が多いから、話が合うし、一緒に休日に遊びに行けるのが楽しい」

そう答えてくれた小倉さん。悟さんの職場だから、荻浜だから、彼は働き続けるのでしょう。

俺は元々漁師タイプじゃない。

悟さんのお父さんは大工。チャレンジ精神旺盛な人で、大工をしながら、漁業も始めたそう。幼いころから、そんな父の姿を見てはいても、漁業を仕事にすることはあまり考えていませんでした。

「生まれも育ちも荻浜。だけど、昔からバリバリ船に乗ってたわけじゃないんだ。太ってたし、運動神経も良くなかったから、漁業はずっと向いてないって思ってた。たまに船に乗って手伝っても、うまく動けないから失敗ばかり。ああ、これはだめだなって。でも、高校を卒業するタイミングで、親父が船を作ったのさ。その時、大好きだったおばあちゃんに『手伝ったらば?』と言われたのよ。俺ばあちゃん子だったから、この一言が大きかった」

高校卒業後、お父さんと2人、海で作業するようになっても、最初はできないことだらけ。船を操縦して牡蠣の筏をピンと張ろうとしても、筏がたるむ。操縦を父に任せ、筏に牡蠣をくくりつける作業に移っても、父のようには結べない。

しかし、今では、周りのベテラン漁師からも、「悟さんの操縦、うんめえなあ。上手だなあ」と言われるほどの腕前です。

「場数だな。最初は失敗ばかりさ。早く帰りたいと思った時もあった。でも5、6年経ったらな、潮の流れが読めるようになったんだ。船の上での動きも染み付いて、今は何でもできる」

悟さんの過去のお話を聞いていると、滲み出る優しさがどこからくるのかわかる気がしてきます。

「今では当たり前のように作業していても、若い頃はみんな船の上転びまくってたさ。昔から周りの奴らを見ていたからよく分かる」

そう笑いながら話す悟さん。自分は漁業に向いていないと思っていたからこそ、担い手の子や周りの人を思いやる優しさがあるのでしょう。

「悪いことだけはするな。失敗はいくらでもしていい」

悟さんは何度も若者たちに言い聞かせています。時に厳しく、時に優しく。そんな彼のもとでなら、思い切り新しいことにチャレンジできるはずです。

一緒に、荻浜を若者の活気で溢れた浜にしませんか。

 

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文=香川幹
写真=Funny!!平井慶祐
(写真は2017年〜2020年に撮影。取材は2020年8月に行いました)

募集情報
募集職種 漁師
雇用形態 正社員・フルタイム
給与 月収19万円
試用期間中は18万円(試用期間1年)
※能力や貢献度により昇給あり
福利厚生 寮あり(TRITON OSHIKA), 乗組員厚生共済, 船舶免許取得支援制度あり
仕事内容 牡蠣養殖, カゴ漁, ワカメ養殖
勤務地 宮城県石巻市荻浜
その他 【仕事内容】

牡蠣養殖(6・7月/10〜2月)7:00〜16:00 ※実働8時間程度

 6・7月  種はさみ、沖出し作業 等

 10〜2月  水揚げ、牡蠣剥き作業 等

ワカメ養殖(3〜5月)5:00〜15:00 ※実働9時間程度

 収穫、陸でのボイル・塩蔵作業

 収穫量によって、時間外労働あり(残業手当支給)

カゴ漁(8・9月)14:00〜23:00 ※実働8時間程度

 金華山沖にてカゴ入れ・水揚げを3〜4回程度

※漁業のため作業内容や天候により変動あり



【休日休暇】

牡蠣養殖(6・7月/10〜2月) 日曜日

ワカメ養殖(3〜5月) 荒天日 ※3〜4日程度

カゴ漁(8・9月) 操業3日ごとに1日休み ※月9〜10日程度

お盆3日程度、年末年始5日程度の休暇あり
会社情報
会社名 快進丸
住所 石巻市荻浜

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