【宮城/漁師求人/養殖】芽吹く、仲間とつくる漁師の未来
周囲を木々に囲まれた蔵内漁港は、波も穏やか。 早朝の漁を終え、陸で行う漁の後作業や翌日の準備に取り組む体に、幾種もの鳥のさえずりが心地よく聞こえてきます。
全国の人が気づかせてくれた、大切なこと
宮城県気仙沼市の南端に位置する<蔵内漁港>。
目の前に広がる太平洋は、栄養素を豊富に含んだ寒流と南から流れ込む暖流の黒潮がぶつかり、豊かな漁場を形成しています。2011年3月11日の東日本大震災では、蔵内漁港も壊滅的な被害を受けました。残った船は、「第三十八寛洋丸」の一隻。船が残ったとはいえ、養殖筏も施設もすべて流失してしまい、一人では何もできませんでした。
“本町の東南、国道45号線に沿う蔵内・歌生・今朝磯地区は、本吉郡沿岸でまれに見る風光明媚な海岸である。老松を頂いた大小の島々が点在し、その間に岩礁がそそり立ち、はるかに見わたせば岩井崎・大島の亀山・唐桑半島などが一望でき、さながら一幅の絵を見るようである。”(本吉町誌II 本吉町誌編纂委員会編)
その風光明媚な海岸が、漁師の心を折りそうになるほどの惨状にあった。
しかし……、
「全国からボランティアの方々が蔵内にも来てくれて、ドロドロになりながらひとつひとつ土砂をスコップで土嚢に詰めてくれて。なんで、この人たち俺たちのために一生懸命やんのかな、と思ってたんだけど。
人は一人では出来ないことも仲間で声を掛け合ってやっと、すごい力が湧くんだなって、俺たちが忘れていたことを彼らに思い出させてもらった」と、蔵内之芽組代表の及川淳宏さん。今回、一緒に声を掛け合える新たな仲間を募集しています。
仲間でやってく。その思いで立ち上げた、<蔵内之芽組>。
この団体名は蔵内の復興を手伝ってくれたボランティアの一人が名付けてくれました。海で採れる恵みを届ける。ここ、蔵内で。今は、期間メンバーも入れて7人。それぞれが個性的だけど、自分の仕事と立ち位置を心がけています。
震災前は、稼業として漁業を営む漁師はそれぞれが大将。我が強く、漁師同士はお互いにライバルで、いかに他の漁師より獲ることができるのか、いかに他より稼げるか。
「負けたくねえって、張り合っていた」
獲った後は漁協や業者に収めれば、誰が食おうが、どこに売られようが知ろうともしませんでした。その意識も、蔵内漁港を思うボランティアや消費者が変えてくれました。
「美味しいて言われることが、あの時みんなで泥まみれになって助けてもらったことに対する、俺たちモノづくりする人間にとっては恩返しかなって。顔が見える販売をしていかないと生産意欲が湧かない。美味しいって言ってもらえる、いいものを届けたい!」
達成していく喜び
若手のリーダー三浦卓也さん(39)は、以前は写真館に勤めていたカメラマン。
「震災前に写真の仕事はやめて、漁師の仕事をしていて。震災後は瓦礫片付け、2013年ごろから蔵内に遊びにきていました。ちょうどわかめの時に手伝ったら、それからそのまま(笑)。
ぜんぜん海のことわかんないし、できないことも多いけど、それを一つひとつ覚えて、達成していくことが楽しいですね」
蔵内之芽組非公認ブログ「ひなた三代目蔵内之海ログ」を更新している三浦さん。「ひなた」は三浦家の屋号で、父親の伸一さんは蔵内之芽組の会長を務めている。
「ブログが流行り出した頃からやっているので、更新歴はもう14年ぐらい。蔵内之芽組に漁師見習いで加わって、誰に言われたでもなく、始めました」
ブログには、土俵入れ・種はさみ・耳吊り・ピン刺し・採苗など、ワカメやカキ・ホヤの作業の用語が並ぶ。
その中には、地元小学校の生徒が漁師体験に来たことも綴られている。地元の子どもたちに、もっと漁師のことを知ってほしい。蔵内之芽組では、積極的に子どもたちの体験学習を受け入れている。
また、新しく漁師を目指す人も。
「明るくて、元気で積極的で、自分の意見をきちんと言える子がいいな」と三浦さん。
漁師って、楽しい!
三浦さんが漁師の担い手に求めている、“明るく元気で積極的”なイメージをまとめたようなのが、漁師になって4年目の阿部正太郎くん(25)。阿部くんは気仙沼生まれ気仙沼育ちですが、海の仕事はまったく知らない世界でした。
「震災前は漁師と交流する機会もなくて、震災きっかけで、まだ高校生だったけど防潮堤の説明会や勉強会に顔を出していく中で漁師さんともつながりができて。ワカメの刈り取りとか芯抜きの体験させてもらったけど、本当に漁師になろうと思っても、どうやってなれるのかわからなかったし、勝手に始められないじゃないですか」
阿部くんは、宮城県主催の7ヶ月間の漁師カレッジ研修を受けて、一年を通じて稼げる働き先として紹介されたのが蔵内之芽組でした。4年を経て漁師姿が板についてきた阿部くんにとって、テンションが上がるポイントは?
「わかめの刈り取りの初日。よく育ってくれたなと思う。朝ようやく陽が出てきた頃に水揚げされたわかめがキラキラとステンドグラスみたいに光ってて、シーズンが始まったなって。でも、そんなこと思ってられるのも最初だけだけど(笑)」
積極的な阿部くんは、他の浜や漁師のこともいろいろ気になり、調べているらしい。
「他と比べてこうだって自信を持って言えるように、どうやったら見える化できるのかな~って。いかに差をつけるか。せっかくだから、少しでも特別なものをつくりたいね。俺、漁師で死ぬまで稼ぎたいと思うね。楽しいっすよ」
今は一番若手だが、後輩が入ってくることには?
「普通に嬉しいです。入ってくる人が年上か年下かわかんないけど、やる気さえあれば職場に新たな活気が出る。わかんない人と稼ぐってなんか新鮮。人に教えるのは自分ももう一回学び直しているようで勉強になるし。同じ作業を繰り返すことが多くても、飽きたなって言いつつ、手が動いてるような人に来てほしい」
人の和と輪を広げていく
震災を機に、漁師の協業もさまざまなところで行われてきました。10年が経ち、解散していく団体が多い中で、蔵内之芽組はどうして続けることができたのでしょう?
「みんながそれぞれ個性あるから、歩調を合わせてみんなのいいところを引きだす。震災でいろんな人に助けられて、個人でやる時代ではないと身をもって知りました」と及川さん。
地域貢献。達成感がある仕事をしたい。未来を担う子どもたちにも繋いでいきたい。
そんなやりがいを求め、一次産業に目をむける人は明らかに増えています。
蔵内之芽組にはどんな人に来てほしいのでしょう。
「仕事が早い人も遅い人も、仕事に対してきつい人も柔かい人も、俺たちもいろんな人と付き合ってきた。俺たち自身も個性的だし、柔軟に対応するよ。組を名乗っているけれど、善良な市民だから(笑)。漁師は力仕事だけどそれを気にしなければ、女性でも構わない」
「沖さ行かなくても、手仕事もあるから、年間通して雇用を続けられるように加工もしていきたいし、販売先を広げていきたい。目標は蔵内之芽組が年間通して蔵内を支える産業になって、みんなが安心して生活ができるようになること」
「そして、自分たちは美味しいって言ってもらえるものをこだわって、些細なこともおろそかにしないものづくりをやっていきたい。昔みたくつくったら売れる時代でもないし、なんでもかんでも売ってやろうってのではなくて、大切な人に届けるためにいいものをつくっていかないと。そういう思いで、仲間たちとやってる」
事務所の暖炉を囲み、談笑しながら互いの思いを掴みとる。
時を経ても変わらずその和を。
新しい人を加え、さらに大きな輪を。
2022年12月に取材しました。
文:藤川典良
写真:平井慶祐
募集職種 | ホタテ・ワカメ・ホヤ養殖漁師 |
---|---|
雇用形態 | 正社員 |
給与 | 月給18万円~ 水揚げに応じて出来高制あり 試用期間3ヶ月は時給900円 |
仕事内容 | 【仕事内容】 1〜2月 ホタテ仕込み 2〜4月 ワカメ出荷 5〜7月 ホタテ・ホヤ出荷 8〜9月 道具修理 10〜12月 ワカメ・ホタテ仕込み |
勤務地 | 宮城県気仙沼市 |
勤務時間 | 8時〜17時(実働8時間・休憩1時間程度/ワカメの収穫時期は6時〜17時で実働10時間) |
休日休暇 | 週休2日程度 |
募集期間 | 2024年04月01日(月)~ |
その他 | 普通自動車運転免許必須 |
会社名 | 蔵内之芽組 |
---|---|
住所 | 宮城県気仙沼市本吉町蔵内197 |
Webサイト | https://www.kurauchi-no-megumi.jp/ |
Facebookページ | https://www.facebook.com/cool.megumies |
選考方法 | TRITON JOBから応募いただきます ▼ TRITON PROJECTよりメールにて連絡をします ▼ TRITON PROJECT 公式LINEを追加いただき、チャットにてやりとりを開始 ▼ LINE内で、サポート窓口と電話での簡易面談 ▼ LINE内で、エントリーシートの提出をお願いします ▼ 書類選考・応募先との電話面談などの調整をします。 ▼ 合否についてご連絡が入ります。 |
---|