【三重/漁師求人/定置網漁】「町の灯り」を絶やさぬように。次世代への存続と発展にかける方座浦大敷。
リアス海岸に囲まれ、多種多様な水産資源に恵まれた三重県の南伊勢町。この地で昭和初期から定置網漁を営んできた「方座浦大敷」は、2022年に本船をリニューアル。大幅な機械化を実現しました。自動化により作業負荷が軽減した同船では若い世代の育成にも注力しており、現在では40代~60代に加え、20代、10代のメンバーも活躍しています。
「方座浦大敷」とは、どのような特徴をもつ船なのでしょうか? また、その仕事の意義と魅力とは? 今回は、親子で同船に乗り込む中村高明(たかあき)さん・伊吹(いぶき)さんに船での仕事についてお話をうかがうとともに、方座浦大敷株式会社の社長・西堀忠勝(ただかつ)さんに、同船が地域で担う大切な役割について語っていただきました。
雰囲気の良さと抜群のチームワークが、方座浦大敷の魅力!
現在、大敷の舵を取るのは、28歳の船長・中村伊吹さん。同じく大敷の漁師であり、沖長(船の責任者)を務める父・高明さんの背中を見て育った伊吹さんは、子どもの頃から漁師に憧れていたといいます。漁師という仕事は「実際にやってみると想像以上に楽しい」という伊吹さんは、今年で8年目。現在では操船からクレーン操作まで、幅広い業務を担っています。
定置網漁の魅力について、伊吹さんは「日々、違う魚がとれるのが面白い」と語ります。
「巻き網漁のようにイワシやサバを狙ってとる漁とは違い、定置網漁はさまざまな魚がとれるのが面白いですね。それと、個人的には、定置網漁は早朝に出港して午前中に作業をするので、巻き網漁のように夜間の操業でない点も働きやすいと感じています」
父・高明さんの影響に加え、定置網ならではの漁の特徴や働き方に魅力を感じ、大敷に乗ることにしたという伊吹さん。船上での作業については、2年ほど前に新船に変わり機械化が進んだことで、大幅に負荷が軽減したといいます。
「今はかなり機械化が進んで、特に『きつい』と感じるような作業はなくなりました。例えば、以前は網を固定するための土俵を毎年1000個つくる必要があり、40キロほどの砂利を手作業で袋に詰める作業があったんです。現在では、機械によって一度沈めた土俵を引き上げて再利用できるようになったので、かなり楽になりました」
さらに、このような機械化の恩恵とともに大敷での仕事を快適なものにしているのが、大敷ならではの“雰囲気の良さ”だと伊吹さんはいいます。
「とにかく雰囲気が良いので、仕事をしていて楽しいんです。大敷に限らず方座浦全体がそうなのですが、皆仲が良くて、年下だからといってあまり気を使わなくてよい空気があります。新しく入る方も、きっとすぐになじめるんじゃないかな。仕事についても皆優しく教えてくれるから、遠慮せずにどんどん質問するのが成長の秘訣です」
船のメンバーは仲が良く、一緒にお酒を飲むこともあるそうです。このように人間関係が良好なうえ、ベテラン漁師が若手漁師に裁量を与え、成長を応援してくれるのが大敷の大きな特徴だといいます。伊吹さんをはじめとする若手漁師の成長を見守る高明さんも、次世代の仲間に大きな期待を寄せます。
「われわれも、新人の若い子が『どうしたらいいんだろう』と戸惑っているような時は、すぐに行って教えるようにしています。しっかりコミュニケーションをとりながら新人の皆さんに成長してもらって、将来は大敷の中心で活躍するようになってもらえたらと思います」
大敷の仕事に潜水も。組み合わせで柔軟な働き方を実現
早朝4時半に集合し、5時に出港するという大敷。業務の終了時間は漁獲量によって左右されるものの、大体8時~9時頃には終わることが多いそうです。
「水揚げなどの作業は年間を通じて毎日同じですが、ここに網の入れ替え作業が加わってきます。網は汚れてきたら入れ替えるのですが、毎年3月くらいになると水温が上がって網が汚れやすくなってくるので、入れ替えの頻度が増えて少し忙しくなってきます」と、年間のスケジュールを説明する高明さん。
網を外すタイミングや付け替えにはコツが必要であるものの、このような難易度の高い仕事についても、若い世代が主導したり、新しい提案をしたりできるようになることを期待しているといいます。「若い世代が、『こんなふうにしたい』と積極的に意見を出してくれたらうれしいですね。そうなるには、まだ時間がかかるかもしれませんが」
なお、早朝から漁に出る大敷の仕事は、その分終業時間が早く、午後に仕事が入ることは滅多にないのが特徴です。そのため、多くの漁師が空き時間を使って、素潜り漁や養殖の手伝いなどをしています。
「この辺りでは11月から6月まで海に潜ることができるので、サザエやアワビをとりに行きます」と高明さん。一方、伊吹さんは、休日や終業後の時間に鯛の養殖現場の手伝いなどをしているそうです。「大敷に乗っている若い漁師ということで、皆が声を掛けてくれるんですよ。長時間の作業ではないので、アルバイトのような感覚でお手伝いをしています」
さまざまなスキルを身に付け、地域の中で柔軟な働き方を実現している大敷の漁師たち。新たに大敷に乗り込む新人漁師さんにも、まず大敷の仕事を覚えてもらうことになりますが、将来的には方座浦に住みながら潜ってサザエやアワビをとったり、小型の定置網を張ったりすることもできそうです。
大敷の存在は、“町の灯り”。地域を照らす希望を次世代につなぐために
「大敷には、昭和初期から続いてきた長い歴史があるんです」。そう語り、昔から今へと至る大敷の変遷を教えてくれたのは、方座浦大敷株式会社の社長、西堀忠勝さんです。
「昭和30年頃には大敷は木船で、3艘の船を1艘のエンジン付きの船で引っ張る形で漁をしていました。当時は40人近い乗組員がいたんですよ。当時はとった魚を氷で冷やすという習慣もありませんでしたが、“とってくれば売れる”という時代でした」
当時の記憶を、懐かしそうに語る西堀社長。しかしながら、その後の長い年月の中で漁獲量や漁業者数は減り続け、近年では大敷による定置網漁と鯛養殖、イセエビをとるエビ網漁が方座浦の主力となっています。
このような中、2022年に国の支援制度を利用して大敷の新船を建造。大幅な機械化を実現し、それまで17人で行っていた作業が10人でできるようになりました。かつては自身も大敷に乗っていたことがある西堀社長には、大敷の存続を願う強い想いがあります。
「南伊勢町全体の高齢化や人口減少が進み、漁業も衰退しつつある中、定置網漁船の大敷を残すことは、雇用を創出し、町に活気をもたらすという意味で非常に大切です。定置網漁がなくなり、市場も使用されなくなれば、町は活気を失くしてしまうでしょう。漁師たちが日々、大敷に乗って漁に出て、魚を水揚げしてくる。大敷は、いわば“町の灯り”のような存在です。町が輝き続けるためにも、大敷の輝きを絶やしてはいけないと思っています」
大敷の存続と発展に情熱をかける西堀社長。観光漁業への参入なども視野に入れながら、さらなる進化を目指した次の一手を模索しています。
船や網を新調し、新たな未来に向けて進み始めたばかりの方座浦大敷。ここには、機械化された働きやすい環境と、仲間たちの温かいチームワークがあります。長きにわたって地域に貢献してきた定置網漁船の新たな歴史を、一緒につくりませんか? 皆さんの挑戦を、先輩漁師が全力でサポートします。
募集職種 | 定置網漁の漁師(ブリ、時期によりワラサ、イナダ、サバ、アジ、イカ) |
---|---|
雇用形態 | 季節雇用社員 |
給与 | 月給23.5万円 日給×30日で計算しています。 実際の労働日数により変動します。 (9月10月は26日、他の月は暦日数) |
福利厚生 | 保険(雇用、労災、健康、厚生)加入 入居可能住宅は必要であれば用意する |
仕事内容 | ・船に乗り定置網で魚をとる ・網仕事(修理等) ・網を入れ替える |
勤務地 | 三重県度会郡南伊勢町方座浦47 |
勤務時間 | ①5時〜9時 ②5時〜11時30分 ③5時〜13時 上記①〜③の就業時間、仕事の内容によって異なる。 月の半分は①の就業時間です。 休憩時間 ①0分 ②30分 ③60分 |
休日休暇 | 火、土(三重外湾漁業協同組合の方座魚市場カレンダー通り) |
募集期間 | 2024年12月27日(金)~2025年12月27日(土) |
その他 | 普通自動車免許必須 休漁期は6月後半~7月末まで1か月程度 |
会社名 | 方座浦大敷 株式会社 |
---|---|
住所 | 三重県度会郡南伊勢町方座浦47 |
選考方法 | TRITON JOBから応募いただきます ▼ TRITON PROJECTよりメールにて連絡をします ▼ TRITON PROJECT 公式LINEを追加いただき、チャットにてやりとりを開始 ▼ LINE内で、サポート窓口と電話での簡易面談 ▼ LINE内で、エントリーシートの提出をお願いします ▼ 書類選考・現地での面談・研修などの調整をします ▼ 選考の結果、合否をお知らせします |
---|