【宮城/牡蠣養殖】「まわりと違う」を楽しむ会社「かねもと」が、漁師を募集
小さな会社の大きな挑戦
全国の沿岸で漁業を営む経営体のうち、96パーセントは個人事業主。そんな漁業の世界で、2020年、宮城県石巻市にある一つの経営体が法人化しました。
その名は「株式会社かねもと」。宮城県石巻市と女川町にまたがる内海・万石浦(まんごくうら)で、牡蠣を養殖・加工・販売している水産会社です。
「まわりとは違うやり方でやらなきゃ、面白くないでしょ」
そう語るのは、「かねもと」の代表・齋藤伊平さん。法人化もその言葉の現れですが、伊平さんの挑戦は多岐にわたります。
浜では誰よりも早く船の機械化を導入し、「さいとうオートサービス」という車屋も長年にわたって経営(※2021年に代表交代)。
さらに牡蠣を育てて出荷するだけでなく、商品開発や加工、販売まで自社で行う「六次産業化」にも積極的に取り組んでいます。
長年、伊平さんと奥さんの洋子さんと二人で切り盛りしてきたかねもとですが、2020年には船を新調し、翌年には担い手として後藤大樹さんが加入。職場に新しい風が吹きはじめています。
そして今回、「かねもと」は事業の拡大に伴い、新たに漁師を募集することになりました。ひとつ屋根の下のような温かいチームに、もう一人。そんな出会いを楽しみにしています。
法人化と6次化——未来を見据えた決断
2020年、かねもとは船の新造と同時に法人化の道を選びました。個人事業主が多数を占める漁業の世界では、まだ珍しい選択。その背景には、ただ制度上の理由だけでなく、伊平さんと洋子さんが長年抱き続けてきた「地元に漁業を残したい」という強い思いがありました。
「やっぱり東日本大震災以降かな。自分がまだ元気で働けるうちに、次の担い手を育てたいという気持ちが強くなっていった。船を造るタイミングでもあったし、法人化という選択肢が自然と見えてきた」と伊平さん。
法人化後、かねもとにはいくつもの変化が訪れます。社会保険の整備、労働環境の見直し、休日の明確化。かつては、働き詰めだった日々に、メリハリある働き方という価値観が根付いてきました。
「周りの漁師さんってさ、何も用事なくてもとりあえず海に行くじゃない?昔は伊平さんもそうだったけど。『なんかしなきゃ』って感じで浜に行って。でもあれ、よくないのよ。そんなんじゃ新しく入る人もちゃんと休めないじゃない?」と洋子さん。伊平さんも、笑いながらうなずきます。
「私たち自身の意識が変わったのが一番大きいかも。今は、法人化したことで、休みをハッキリさせるようになって心に余裕ができた。だからこそ、次の世代と一緒にやっていくことができるようになったのよ」
かねもとのもう一つの特徴と言えるのが、6次産業化です。震災後、「一次産業の魅力をダイレクトに伝えたい」という思いから、ただ牡蠣を出荷して終わりではなく、オリジナル商品の開発や仕込み、販売、発送、展示会参加まで、幅広い工程を手がけています。
「牡蠣のワイン煮」や「オイル漬け」など、たくさんの種類の商品を開発している。どれも洋子さんが試作し、完成したもの。
この6次化の要を担っているのが洋子さんです。
「もー大変なのよ!」と笑いながらも、洋子さんの目は楽しそう。「でも、お客様と直接やりとりできるから、それが日々のやりがいにもなるのよ」
法人化して、働き方を整え、そして届け方まで自分たちでつくり始めたかねもと。「家業」から「未来のある会社」へ。昔ながらの漁師の魂を残しながら、新しい形を模索する、挑戦の真っ只中です。
担い手・後藤大樹さんの成長と活躍
そんなかねもとで、2021年から働き始めたのが、担い手漁師の後藤大樹さん。大阪出身で、大学卒業後は仙台で営業マンとして働いていました。
「営業の仕事もやりがいはありました。でも、生き物が好きで、ずっと一次産業に関わる仕事がしたいと思ってたんです」
転機となったのは、オンラインで開催された漁師就業フェア。
かねもとの求人情報を見つけ、まずは1週間の研修に参加。その後、試しに1シーズン働いてみることにしました。
「気づいたら、海の世界にどっぷりハマってましたね」と笑う後藤さん。今では、かねもとの中心的な存在として欠かせない人材となっています。
現在は伊平さんとともに海に出て牡蠣の養殖作業をこなしながら、加工、発送、営業、さらには展示会対応まで幅広く活躍中。
SNSを通じた問い合わせ対応など、オンラインでの発信にも力を入れています。
「仕事はめちゃくちゃおもしろいですね。うちは漁師の仕事だけじゃなくて、やろうと思えばなんでも関われる。だからこそ自分の可能性も広がる気がします」後藤さんの加入によって、「かねもと」が動ける幅は確実に広がりました。
「後藤くんがいてくれるから、私も新しいことやってみようかなって思えるのよ」と語るのは洋子さん。「昔だったら手が回らなかったようなことも、今は少しずつカタチにできているの」と目を細めます。「若い人がひとり入るだけで、浜の雰囲気って変わるもんだね。明るくなったし、自分たちも自然としゃんとする。気持ちが若返ったよね」と伊平さんも嬉しそうに語ります。
もちろん、覚えることはたくさんあります。それでも仕事の幅があるぶん、自分の「得意」や「好き」を活かせる環境がここにはあります。
「最初は何もかもが初めてでしたけど、少しずつ任せてもらえることが増えてきました。だから、これから一緒に働く人にも、『とりあえずやってみよう』という気持ちがあれば、きっと合うと思います」
募集するのは、現場に飛び込む漁師仲間
今回募集するのは、牡蠣養殖の現場作業を担う漁師です。
養殖の仕事は季節ごとに表情を変えます。春には種付け、夏は成長管理、秋から冬にかけては収穫と出荷の繁忙期。筏のメンテナンスや出荷用牡蠣の洗浄、荷造りなど、日々の作業も多岐にわたります。
「営業や加工も、いずれ関わるかもしれない。でもまずは現場。現場を知らないと、何も語れないからね」と伊平さん。
たとえば、お客さんから「今週の出荷、どれくらいできそうですか?」と連絡が来たとき。今どれくらい採れていて、どの作業がどれくらい進んでいるのか。現場にいるからこそ答えられる言葉が信頼につながります。
まずはこの海の仕事をまるごと体験してほしい。そうする中で、「これが得意」「これが好き」が見つかったら、それを伸ばす道もあると洋子さんは言います。
「現場で一緒にやってみて、『この子、こういう力あるな』って分かってきたら、『事務やってみる?』『加工、ちょっとやってみる?』って、自然と広がっていけばいいと思うのよ」
「根本的に『漁師になりたい』っていう気持ちで来てくれること。それが一番うれしいのよ。たとえ海が合わなかったとしても、細かい作業が好きなら加工でもいいし。うん、そうやって、縁があって来てくれた人がいたら、その人の『好き』を活かせる場所にかねもとはなりたいと思ってる」
「やってみたい」という気持ちがあれば、あとは一緒に覚えていけばいい。伊平さん、洋子さん、そして後藤さん——かねもとは、そんな仲間を本気で待っています。
募集職種 | 牡蠣養殖の漁師 |
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雇用形態 | 正社員 |
給与 | 月給18万~25万円 給与は試用期間後に決定 ※試用期間1か月は時給1,100円 ※貢献度に応じて昇給あり 残業代は満額支給 |
福利厚生 | ・社会保険完備 ・寮(フィッシャーマン・ジャパンが運営するシェアハウス) ・資格取得支援制度 ・健康診断(年1回) ・BBQ(年数回) ・車の修理等割引制度あり |
仕事内容 | 牡蠣養殖・牡蠣加工・ECサイトでの販売 牡蠣を養殖して出荷して終わりではなく、オリジナル商品の開発や仕込 お客様へ発送したり、展示会に参加したりと、仕事は多岐に渡ります。 お客様と直接やりとりできることが、日々のやりがいや励みにも繋がります。 |
勤務地 | 宮城県石巻市沢田 |
勤務時間 | 6:00~15:00 天候や作業内容、時季により変動あり ・10~3月 牡蠣の水揚げ・剥き方6:00 ~ 15:00(実働8時間) ・4~9月商品加工8:00 ~ 17:00(実働8時間) ※漁業のため、天候・作業によって変動あり(変形労働制) |
休日休暇 | 年間休日106日 (日曜、祝日、第2・4土曜、お盆休暇、年末年始休暇) 入社6か月後に有給休暇10日付与 ※繁忙期は休日出勤あり(残業代支給) |
募集期間 | 2025年06月26日(木)~ |
その他 | 普通自動車免許必須(AT可※入社後MT取得必須 ) 若年層のキャリア育成のため18歳~35歳までの方 |
会社名 | 株式会社かねもと |
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住所 | 石巻市沢田 |
通販サイト | https://kane-moto.com |
Facebookページ | https://www.facebook.com/pg/Gotisougaki/posts/ |