世界有数の漁場である三陸。そこには、漁師たちが命をかけて漁をしてきた姿があります。彼らが海で活躍し続ける背景には、漁師が使う仕事道具「漁具」を提供し、メンテナンスするプロがいるのです。
江戸時代末期の嘉永3(1850)年に、「廣野屋」として創業したアサヤ株式会社。漁具商として、三陸沿岸の漁業を支えてきました。現社長の廣野一誠さんで七代目です。
創業当時、沿岸漁師の漁具は麻を撚って作った釣り糸でした。廣野屋は、漁具商として麻を売っていたことから「アサヤさん」と呼ばれ、いつの間にか屋号も「麻屋」に。その後は取り扱う漁具も時代とともに増え、今では素材や太さなどのバリエーションも含めると扱う漁具はなんと3万点以上に登ります。
アサヤには、営業部門の<漁船部門>、<養殖部門>、<定置部門>などがあり、機械などの大きなものから釣り針などの小さなものまで幅広く取り扱っています。ほかにも、鉄工課や塗装課といったものづくりの職人として技術を活かす職種もあります。
それぞれが自分の仕事に責任を持ち、企業理念である「漁民の利益につながる、よい漁具を」に基づいて日々仕事に取り組んでいます。
漁師さんたちは、日々扱う道具にとても強いこだわりを持っています。網ひとつとっても、材質、規格、色など種類はさまざま。それぞれの漁師さんが必要とする漁具を、相談しながら提案して納めています。
長い歴史の中で築いてきた、取引先との厚く深い信頼関係。それを絶やさぬよう、漁師さんの声に耳を傾け、最適な道具を提案しています。
今回は、アサヤの仕事と、その先に描く未来について廣野さんにお話を伺いました。
大手IT企業とベンチャーを経て漁具屋に
私は中学進学から実家を出て、中・高はPL学園、大学は早稲田大学に進み、情報工学を専攻しました。「世のため人のためになることをやりなさい」という祖母の言葉がずっと心に残っていて、まずはその中でやりたいことをやってみようと思っていました。
課題を解決することが好きで、得意なのが英語とIT。それを踏まえて就職したのは、大手IT企業のコンサルティング部門。取引先の要望を具体化することに心血を注いできました。その後6年間勤め、先輩に誘われて起業に参画することに。東日本大震災が起こったのは、その後でした。
心の中にずっとあった「いつか実家を継ぐために帰らなければ」という気持ちが強くなり、意を決して、2014年に気仙沼に戻り跡を継ぎました。
IT企業やベンチャーでの仕事、そしてアサヤも、業界は違えど共通点があります。お客さんの「これが欲しい」「これがしたい」という欲求があってこそ仕事になる。私自身、根底には誰かに喜んでもらいたいという思いを強く持っています。だからこそ、お客さんの要望に答えられるよう器を広げ、社長として会社とともに成長していきたいと思いながら仕事をしています。そして今は、三陸の漁業を変えていくという、大きな目標に向けて進んでいます。
三陸漁業が抱える課題に真剣に向き合う
世界三大漁場の一つとされる三陸の漁場。ここで獲れた新鮮な海産物は、日々全国の消費者に届けられます。しかし、そこには課題もたくさんあります。
環境の変化により魚が獲れない「資源」、魚の値段は下がったのに漁船の燃料代は高騰して利益が出ない「収益」、過疎化で子供が減って跡継ぎがいない「労働力」など。アサヤとしては、こうした問題を解決し、漁業を続けていけるような手助けを行なっていく必要があると思っています。だから私たちは漁師さんとともに走り続け、漁業そのものの変化を支えるべく、新しい提案もしていきます。
今抱えている課題を解決する糸口は4つあると考えています。
1つ目は、漁業に関わる面倒ごとをアサヤが担うこと。よりお客さんに密着し、うちが裏方役を果たしていくことで、お客さんが漁に集中できるようにする。
2つ目は、機械化。人手が減っても、漁が続けられる方法を提案する。
3つ目は、漁法革新。お客さんと一緒に実験しながら、新しい漁のやり方を考える。
4つ目が、漁業啓発。人手が足りないのは、漁業に興味を持つ人が少ないことも影響しています。漁業・漁師という生き方に触れてもらい、面白そうだと思ってもらう。進路の選択肢に漁業を組み込んでもらう。観光イベントの取り組みなどを通して、漁業に触れるきっかけを作り、漁業を仕事に選ぶ人を増やしたいと考えています。
例えば、「ちょいのぞき気仙沼」という取り組みは、わかりやすく言うなら気仙沼版のキッザニア。体験型の観光商品です。観光を通じて、漁業を知ってもらう間口を増やすことで、未来の後継者につながるかもしれません。
さらに、現在ECサイト「気仙沼さん」の運営も行なっています。魚を食べる人が増えることで収益に貢献できると思っています。
他にも、情報発信や人事制度の改善、マーケティングなど、やりたいことは山ほどあります。新しいプロジェクトの提案も大歓迎。様々な領域があるので、その都度話し合いながら、一番パフォーマンスが発揮できる領域で羽ばたいてほしいです。
アサヤだけは、最後まで諦めない
漁業や水産業が元気になれば、地域も元気になる。それは、結果としてアサヤにも還元されます。そのための仕組みを一緒に作っていく仲間が必要です。「人々の役に立つ」というアサヤの創業理念を守り、日々変化する漁業を支えていく。三陸の漁業に貢献することこそが、アサヤの仕事の本質。たとえ、他の業者が諦めたとしても、アサヤだけは最後まで諦めずに、三陸の漁業を守ります。
これからも、200年、300年と長く続く会社にすることが、私のミッションです。この大きな、そして時間と手間がかかる夢に向かって、一緒に走ってくれる仲間を募集しています。
応募申し込みフォームに不具合が生じる場合があります。お申し込み、お問い合わせは
triton@fishermanjapan.com
まで直接メールでご連絡ください。
雇用形態 | 正社員・フルタイム |
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給与 | 月収16万~30万円 1、漁具資材販売・営業 月収17万~30万円 2、技術職/漁労機械の修理・製作 月収16万~25万円 3、技術職/船舶塗装 月収17万~20万円 家族手当、通勤手当(最大上限18,000) 移住者手当(最大30,000円)※条件による 昇給(ひと月当たり1,000円~6,000円 前年度実績) 賞与(年2回、計2.00か月分 前年度実績) |
福利厚生 | 社会保険完備, 退職金制度有り, 通勤手当, 賞与あり, 家族手当, U・Iターン支援あり |
勤務地 | 宮城県気仙沼市松川前13−1 ※漁具資材販売・営業は、気仙沼本社の他、釜石店、宮古店での募集もあります。勤務希望のある方はご相談ください。 |
勤務時間 | 8:00~17:00 |
休日休暇 | 日祝・他、会社暦による/年間休日105日 土曜出勤は変則で会社カレンダーによる。※6か月経過後の年次有給休暇日数10日 |
その他 | 募集職種 ① 漁具資材販売・営業 ② 技術職/漁労機械の修理・製作 ③ 技術職/船舶塗装 仕事内容 ① 漁具資材販売・営業 お客さまは漁協・船主・漁師・造船所。いわゆる“職人気質”の方たちなので、まずはコツコツ信頼関係を築いていくことが大切です。お客様に荷物をお届けしながら、日々の漁の状況をお聞きしたり、時にはお客様のお手伝いをしながらしっかり関係構築をして行きましょう。お客様から“一人前”と認めて頂くまでには少し時間がかかるかもしれませんが、その間は会社としてみなさんのサポートをしていきますのでご安心ください。お客様の「困った」に先回りし、解決の提案・提供をすることができるようになったらあなたも“一人前”ですよ! ※営業は、気仙沼本社の他、釜石店、宮古店での募集もあります。勤務希望のある方はご相談ください。 ② 技術職/漁労機械の修理・製作 漁労機械(漁船などでの作業を手助けする機械の修理、製作が主な仕事です。マグロ延縄船上の機械、カキ・ホタテなどの養殖場の洗浄機械など漁師の仕事には欠かせない機器が相手の大事な仕事です。機械いじりが好き!分解、組み立てなどモノの仕組みを知るのが好きな方なら面白いと思える仕事です! ③ 技術職/船舶塗装 漁船のメインテナンスに欠かせない、新しい塗料を塗り直す塗装工事をするお仕事です。鋼・アルミでできている船は海水でも錆びないように特殊な塗料での塗装が施されているのです。 歓迎条件 ・小型移動式クレーン運転技能者あれば尚可 ・フォークリフト運転技能者あれば尚可 ・玉掛技能者あれば尚可 必須条件 ・普通自動車運転免許(AT限定不可) ※営業は基本的なパソコン操作(Word、Excel等) その他 ・長期勤続によるキャリア形成を図る ・制服(ポロシャツ、ブルゾン)、防寒着支給 |
会社名 | アサヤ株式会社 |
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住所 | 宮城県気仙沼市松川前13-1 |
社員数 | 77人 |