革命を起こせ! 3分53秒からはじまる新たな海の冒険

革命を起こせ! 3分53秒からはじまる新たな海の冒険

TRITON PROJECTは、新世代のフィッシャーマンを増やし、 未来へ向かってこの国の水産業を変えていくプロジェクトです。

2015年にTRITON PROJECTを立ち上げてから、約30名の新人漁師が誕生しました。

私たちがポンッと背中を押したその日から、それぞれの浜で、それぞれの海で、新しい物語がはじまっています。

彼らは決してひとりではありません。

必ずそこには、彼らを受け入れ、ときに厳しく、そしてやさしく見守り続けてくれている人たちがいます。

今、この海を舞台に、少しずつ「何か」が変わろうとしています。
その「何か」は、目に見えるような大きなものではありません。

浜の空気が少しやわらかくなったような、笑い声が多くなったような……
「ような」としか言い表せない、小さくて、不確かなものです。

それでも私たちは、そんな小さな変化の積み重ねを大切にしていきたいと考えています。

今回、TRITON PROJECTのリアルな今を伝えたくて、ムービーをつくりました。

唱歌「我は海の子」の音楽に乗せて繰り広げられるのは、いきいきと働く新人漁師と、温かい親方漁師の言葉の数々。

私たちが普段、彼らの仕事場で感じているこの空気感を動画で伝えることが、きっと新たな出会いにつながるはず。

そんな思いで、制作に至りました。

そして、一緒に感じていただきたいのは、TRITON PROJECTの世界を彩る「さまざまな人」たちの存在です。

一般企業の社員、デザイナー、クリエイター、建築家……。
職種や場所を超えて、TRITON PROJECTの世界には「さまざまな人」たちが介在し、遠くていつも近い場所で、応援し続けてくれています。

フィッシャーマン・ジャパンのメンバー漁師にして、TRITON PROJECTの発起人である鈴木真悟が目指す「カラフルな水産業」は、まだまだここに紹介しきれていない「さまざまな人」とともに、色を加え、加速し、確実に前へ進んでいます。

私たちはひとつのチームです。

集え、未来のフィッシャーマン。

海からはじまる冒険の物語に、あなたも参加してみませんか?

 

 

【出演者紹介】

「なんでも勝手に手を出してくる。そして失敗する。でもへこたれない。そして上達する」(親方/佐藤一)


漁師になりたいと思っても、すぐにひとりでできるわけではありません。まずは、尊敬できる師に出会うこと。三浦さんは1泊2日のTRITON SCHOOLを通して親方の佐藤さんに出会い、直感で就業を決めました。当初、ひとを雇うつもりがなかった佐藤さんですが、三浦さんのやる気を買い、受け入れを決意。突然現れた「よそ者」の存在に、周りから警戒されることもありましたが、明るく真面目に仕事に励む三浦さんの姿は、震災後人口が激減した地域にてとって眩しい存在となっています。

2019年2月には「一人前に育てたい」という佐藤さんの思いと、「漁業者として迎え入れたい」という地域の声が後押しし、準組合員(共同漁業権)の資格を取得。新規参入者の漁業権取得に関してまだまだ消極的な風潮がある中でのスピード取得は、彼の頑張りと地域の理解・信頼関係があってこそ。最近ではスーツを着て営業活動を行う姿も見られるなど、今後ますますの活躍が期待されています。

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「かっこよく言えば家族。なくてはならない存在」(親方/千葉勝)

いつか若いひとと働いてみたい。
そんな思いを抱いていた親方の千葉さんのもとに流星の如く現れたのが、新人漁師の中でも最も遠い地域(岡山県)からやって来た磯島さんです。千葉さんから見た第一印象は、もって1週間。大丈夫かな?と最初は不安もありましたが、いきいきと船の上で仕事をする姿を見て、この子は大丈夫と確信したそうです。
磯島さんは、素直で爽やかな雰囲気とは対照的に、負けず嫌いな一面があります。新人漁師が覚えるまでに時間がかかるロープワークも自主練を重ね、あっという間に覚えて周囲を驚かせました。
動画では、秋口に松島で行なわれる作業の様子が映し出されていますが、美しい風景に負けないくらい楽しそうな2人の表情が印象的なシーンです。

今では千葉家全員、磯島さんのことを「ゆう」「ゆうくん」と呼びます。そのやわらかな響きには、本当の家族のような温かいぬくもりを感じることができます。

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「自分で魚屋をやりたいと。何も迷うことなく、頑張れ、応援するよって」(親方/大森圭)

水産仲卸業を営む親方の大森さんは、その目利きと技、豊富な知識を駆使し、量より質にこだわった漁業を目指しています。彼のもとに弟子入りした吉岡さんは、水産学科のある大学を卒業後、スーパーの鮮魚コーナーで働いていました。しかし、魚と向き合えば向き合うほど、漁業への思いは募るばかり。はじめは漁師を志してやって来ましたが、大森さんの仕事に感銘を受け、弟子入りを志願しました。
動画の中でも、大森さんにジッと視線を向ける姿が登場しますが、常にメモを持ち歩き、学んだことをノートにびっしり綴る勉強熱心な若者です。魚の扱いに人一倍厳しい大森さんも、「捌き方は自分よりもきれい」と一目を置く存在。最近は、自分たちが手がけた魚を扱う鮨屋に一緒に食べに行くこともあるそうです。

水産業界は、いくつもの歯車が噛み合って動いています。
いつか一人前の漁師になった仲間が獲った魚を、吉岡さんが手をかけ、食卓に届ける……そんな夢物語が現実になるのも、そう遠い日ではないかもしれません。

 

「漁師やりたいな、漁師やりたいなって、いつまでも思い浮かんでくるんで。やるんだったら今しかない」

今回の動画で、誰よりも「漁師になりたい」という思いを語ってくれたのが上村さんです。40歳を機に長年の夢を叶えるべくやって来ました。親方の阿部さんは、その地域で誰よりも早く担い手募集を行っていましたが、サラリーマンとして20年近いキャリアのある上村さんを迎え入れることに1ヶ月以上悩み続けました。漁師として一人前になるには、最低でも10年はかかるという世界です。このまま安定した職に就いていたほうが、彼のためになるのではないか……。悩み続けた阿部さんを動かしたのは、「漁師になりたい」という上村さんのまっすぐな想いでした。

まだ薄暗い朝。浜にはいつも、誰よりも早くやって来て仕事の準備をする上村さんの姿があります。動画の撮影中、「ここは最高の海だよ」と、親方の阿部さんと同じことを言う場面もありました。40歳といえば一般的には守りに入る時期なのかもしれません。しかし、彼のように新しい世界に飛び込んだ人もいます。彼がつくりだす新しい漁業の世界は、どんな色になるのでしょうか。

 

「結婚して子供が生まれて。子供が不自由なく暮らしていけるように。一個一個牡蠣をつくっていく」

TRITON PROJECTを立ち上げてから、常に先頭を走り続ける若者がいます。
大野さんは、いつか独立して自分でつくったものを出荷することを目標に、2016年に石巻にやって来ました。その大きな夢を叶えるために可能性のある浜を探し回ったのが、宮城県漁協石巻地区支所の職員・三浦さんです。ときに兄のように彼を叱咤し、支え続けてきました。現在、大野さんは浜で一軒だけとなった牡蠣漁師・亀山さんのもとで、3年独立型の補助を受けながら就業しています。
そんな大野さんは大の牡蠣好き。いくらでも食べられるそうですが、自分が育てた牡蠣となればなおのこと。でも今は誰よりも先に食べてもらいたいひとがいます。

大野さんは石巻で結婚をしました。奥様も大の牡蠣好きで、「おいしい」と食べる姿を見ることが、何よりの楽しみだそうです。一昨年には可愛らしい女の子が生まれ、パパになりました。ひとつ、またひとつと守るものが増えた今、もうあとに引くことはできません。昨年購入した船外機には、奥様自ら筆を取って名前を入れました。
たくさんのひとの期待を背に、大野さんは今日も先頭を走り続けます。

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「今までのやり方を全面的に改革していかなくちゃいけない。革命ですよ」

桃浦にすごい漁師さんがいる!
甲谷さんを紹介してくれたのは、現在、TRITON SCHOOLを一緒に手がけている筑波大学の貝島先生でした。
15歳で船に乗り、カツオの一本釣り、マグロの延縄、北洋漁業(サケ・マス漁)、南米トロール船など、数々の漁船の船長を歴任したという浜のレジェンド。宮城県の調査船を定年で降りたあとは、故郷の桃浦で、刺網やカゴ漁などを営んでいます。
甲谷さんは漁師として働く傍ら、浜の衰退を誰よりも嘆き、なんとかしなくてはと行動を起こしてきました。そのひとつが、震災の翌年から筑波大学貝島研究室と一緒に運営している「牡鹿漁師学校」です。浜の暮らしの豊かさと漁業の魅力を伝えることで、浜の担い手をつくろうという試みですが、実際に甲谷さんに出会い、漁業を知り、こんなに素晴らしい世界があるんだ!と衝撃を受けてやってきた人がいます。甲谷さんの弟子である土橋さんは、5年前、51歳のときに東京から移住。甲谷さんのもとで漁業を学び、2018年に準組合員(共同漁業権)の資格を取得しました。現在は甲谷さんとともに小漁を営むほか、小型定置網船でも働いています。

漁師は代々、その家で受け継がれてきたもの。
特に養殖業を営む漁師にとって、よそからやって来たひとを受け入れるという経験は、ひと昔前では想像もつきませんでした。
だからこそ、「革命」なのです。

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2019.3.3

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