市場と世界と、未来をつなぐ 塩釜水産物仲卸市場×ブリッジプロジェクト

市場と世界と、未来をつなぐ 塩釜水産物仲卸市場×ブリッジプロジェクト

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  • 宮城県,
  • 地域おこし協力隊,
  • 塩竈市外(条件不利地を除く)に住所を有し、任用後は塩竈市内に住民票及び生活拠点を移すことができる方

東塩釜駅から車で数分の場所にある塩釜市水産物仲卸市場。

東日本大震災で沿岸部の施設の多くが大きな被害を受けましたが、ここは奇跡的に大きな被害はありませんでした。

1965年に設立した協同組合塩釜水産物仲卸市場は2020年に55周年を迎えました。

朝6時過ぎ、すでに市場の中は動き始めています。大きな鉄の扉、鉄骨が剥き出しの高い天井、少し仄暗い屋内。店主が「いいの入ってるよ、見ていって」と道ゆくお客に声をかける姿は、どこか懐かしく温かい。

仲卸市場なので飲食店や商店などの店主が食材を買い付けにきますが、ここは一般客向けの小売りもおこなっています。

市場の未来を考える

設立当時、この市場には鮮魚やマグロ専門店、寿司種店など367店舗が軒を連ね、活気に溢れていました。しかし、時代の流れと共に少しずつ店舗は減り、東日本大震災当時には147店舗に。さらに、海洋環境の変化やコロナ禍により、現在では88店舗まで縮小。事業主の平均年齢が60歳以上のため、2025年までに店舗数は約60となり、このままでは施設運営が不可能となる限界ラインを突破し、運営維持自体が困難になる局面を迎えることが予想されています。

今野元博さん(43)は、創業60年の株式会社海老今の三代目。

今野さんの祖父が事業を始め、塩釜仲卸市場の完成とともに海老専門の卸売としてスタート。海老今の歴史は、塩釜仲卸市場と共にありました。

とはいえ今野さん自身は「親が市場で働いているのは認識していたけれど敬遠していたし、やりたくなかった」。

好きだった音楽業界や商業施設など、水産業とは全く関係のない業種を経て、「難しいからこそやりがいがある」と感じ、2016年に家業を継ぎました。

しかし……「市場の仕事は毎日毎年同じことの繰り返しで、前年を超えることをしていなかった。親父は市場の理事長をしていて、私が市場のことに意見を言うようになると『偉くならないと何も変えられないぞ』と。そこで思っていることを形にするための同志を見つけ<未来を考える会>を立ち上げました」。

毎月話し合いの場を設け、市場が抱える課題を抽出。提案書にまとめ、組合に提出し賛同も得ますが、半年が過ぎても何も変化は起きませんでした。

そこでさらに仲間に声をかけ、予算をとり実行できる隊部として<ブリッジプロジェクト>の活動を始めました。

攻めと守りが揃うプロジェクトチーム

これまでの魚を売る市場という枠組みを取っ払った新たな試みが必要です。塩釜の市場を未来に繋ぐための「ブリッジ=架け橋』の役割を担う思いで、これまでプライドやしがらみを見つめ直し、個々のネットワークや価値観を幅広く共有した上で、時代に沿った人々に愛される新しい市場づくりを目指しています」と熱い思いを語る今野さんの元には、市場の未来を担う主要な同士が集まっています。

今野さんが攻撃の基点となりゲームをつくる司令塔・オフェンシブハーフなら、協同組合塩釜水産物仲卸市場専務理事兼塩釜水産振興センター社長の大江玲司さん(38)は、守りを固めるディフェンダー。塩釜市出身の大江さんは、元々フリーの広告カメラマンで、東日本大震災がきっかけで関わるようになり、市場のPR活動の一環として、My海鮮丼事業を管理運営していました。

「My海鮮丼の事業が軌道に乗る一方で、市場では店舗が減っていくことにみなさん不安を感じていました。組合で何かをやるときに、提案から予算の確保までに時間がかかるため、スピーディーにやることは難しい。ブリッジプロジェクトがやりたいことを実現するために、私はデータ提供、補助金申請など調整役に徹しています」。

大江さんが運営するMy海鮮丼は、市場内の店舗でお好みの海産物を、白ごはんとお味噌汁のセットにトッピングし、自分好みの海鮮丼が作れるというもの。コロナ前の繁忙期は一日1500人ぐらいのお客様が食事に訪れるほど人気メニューになりました。

組合の合併

塩釜仲卸市場は、魚類組合、加工品組合、鮮魚組合、中央組合の4つに分かれていて、それらをまとめる連合会という構成で運営されていました。

「367店舗あり、それぞれの組合に100社近くが加盟していたので、盛況だった当時は分けないと成り立たちませんでした。組合運営は、事業者が施設の運営費を組合費という形で納め、組合費で事務局を運営しています。店舗が減るとそれぞれの負担も増えていきます。それらの店舗の負担を軽減するため、状況に応じてスピーディーに物事を決裁するために2022年6月1日に、4つの組合が合併しました」と大江さん。

しかし、60年近い歴史のある組織の改変は簡単ではありません。

魚類組合の組合長だった寿司種を扱う坂本商店の坂本和正さん(49歳)が、新組合の理事長に就任。

「まだ市場に活気があった25-6歳の時に、『自分がトップになる頃には、今いるお客さんは何歳になるんだ』と考え、今のままでいいのかと危機感を感じていました。20年後のシナリオは最悪。だけど、俺一人がやばいやばいと言ってるだけで何も動いていない状態でした。それが今野の声がけでブリッジプロジェクトが動き出し、市場全体が良くなる方向の一歩を踏み出すことができました。」

坂本さんはプロジェクトメンバーでは一番年上。若手と古参の組合員をつなぐ心強い味方。今野さんと大江さんには全幅の信頼を寄せています。

「市場全体としての活気はもちろん、市場の各店にお客さんが足を運ぶように市場の組合長としてうまく舵取るのが私の仕事です」。

市場の未来から塩釜の未来へ、さらにその先へ

ブリッジプロジェクトでは、夏休み中に子どもたちが海産物に触れるワークショップや市場を体験できるイベント「こどもチャレンジラボ」を開催。また、普段市場には出店しない野菜や果物、ハンドメイドのアクセサリーや菓子類、カフェやスイーツなど市場前の特設会場で販売する「市場deマルシェ」は、今年で3回目を迎え、大盛況でした。

さらに、市場内の7号売場で週末出店していたウィークエンドバザール セブンストリートを改装、10月15日からは海産物以外のカフェや麺類等の常設店がオープンします。

迷路のように店舗がひしめく市場。

あと数年で60年を迎え、建て替えも検討されています。

三陸沿岸部の水産業の施設は津波で壊滅的な被害を受け、その多くは高度衛生管理基準に基づいた近代的な施設になっています。

「衛生環境は素晴らしくても、閉鎖的で行きづらく、親しみやすさがない場所にはしたくない。古い施設を残しながら衛生許可もとる。それだけで外に発信でき、人を呼べるようになる」。

難しい課題ほど燃える、「天秤にかけた時に難しい方を選べ」という今野さん自身が塩釜に身をおく決意をした心根に重なる。

「お客様が来て満足感のある場所になるかどうか」

「来たお客さんが楽しかったね、おいしかったねと満足感を得て帰る場所に」

「他にはないテーマパークみたいにしたい」

「市場の周辺に出店したら儲かるぞと思ってもらえる施設にしないと」

「最終的には、塩竈市を活性化させる起爆剤に市場がなればいいなと思っています。」

「ここだけの話なんですけど、僕自身は世界から人が呼べる市場にしたいと思っています。人口が減っていく日本で、多様化していく社会と戦うためには、外からもお客さんを入れないといけないんです。それに、世界と一番繋がりやすいネット販売。この二つは今後メインになっていきます。しかしその前に、地元のお客様に愛されるというのが大前提。点である市場だけでは世界には通用しません。塩釜仲卸市場がさまざまなところと繋がり、点と点を線で繋ぎ、町を変えた上で世界に発信していきたいですね」

店舗の減少、組合合併――、危機感とそれに伴う大きな変化。ブリッジプロジェクトの活動には市場内だけでなく、塩釜市をはじめ、同じ悩みを抱える他の地域からも注目が集まっています。

そこにさらに別の視点、今まで水産業に関わりのなかった人の目を通して、市場の未来を変えてみたいと、地域おこし協力隊の募集に踏み切りました。隊員が取り組んでいく業務は、全て市場の未来をつくっていくのに欠かせないピースとなります。地域おこし協力隊員の業務事例はこちら

 ・仲卸市場内 空区画へのテナント誘致活動・店舗管理補佐

 ・仲卸市場 集客のためのイベント企画・実施業務

 ・新たな収益構造の構築・運営サポート業務

未来へ架かる橋渡しを一緒に

地域おこし協力隊にはどんな人に来てほしいか、ブリッジプロジェクトのメンバーに聞いてみました。

家族経営で小さい時から市場が遊び場所だったマグロ専門店丸邦佐藤商店の佐藤香織さんは、「元々美容師をやっていたし、調理科も出ているので、女性として違った視点からの意見も協力できていたらいいなと思います。もう少し女の人がいると心強い。魚や料理に興味がある人が来たらいいなと思います。市場は個性が強い人が多いので、負けないくらい個性的な人に来てほしいですね」。

近海鮮魚や貝類を取り扱う丸正渡辺商店の鈴木海斗さんは、市場では唯一の20代です。

「地元の人間としてここを盛り上げていきたいし、市場の今後を同世代の人と考えていきたい。そうしないと同年代の人が誰もいなくなってしまう。たぶん地域おこし協力隊に一番近い世代、困ったらなんでも相談してください!」

「オールマイティにこなせる人」

「コミュニケーション嫌いじゃないよという人」

「前向きな人」

「痒いところに手が届く人」

「我々のことを好きになって、塩釜も好きになってほしい」

なかなか最初からそこまでできた人はいなさそうですが、

共通しているのは「一緒に行動できる人」。

市場の個性的な面々を束ねるブリッジプロジェクトのリーダー今野さんは、

「何のスキルもいりません。気持ちがあって、行動が伴っている人。もし足りないものがあってもみんなで補えるから。まず行動を起こせたらおのずと精度は上がっていきます。」

「サッカーに例えると、今はキックオフして前半1分。試合が始まっているのに、まだメンバーが足りていない(笑)。周囲も見ることができて、かつ体力があって隙があったらトップに上がってシュートも打っちゃう、そういう人にぜひ来て欲しいですね」。

塩釜水産物仲卸市場は、ブリッジプロジェクトの存在があって変わり始めたばかり。

あなたらしい視点で橋をつなぐジョイントになり、市場の未来とこれから市場に足を運ぶ人々とをつなぐ、橋をかけてください。

 

2022年9月取材(文・藤川典良、写真・平井慶祐)

応募申し込みフォームに不具合が生じる場合があります。お申し込み、お問い合わせは
triton@fishermanjapan.com
まで直接メールでご連絡ください。

募集情報
募集職種 地域おこし協力隊
雇用形態 正社員・フルタイム
給与 月収18.5万円
福利厚生 住宅手当, 休日手当, 残業手当, 賞与あり, 社会保険完備, 雇用保険
勤務地 宮城県塩竃市新浜町 1-20-74
勤務時間 6:00~14:00  (休憩60分)
休日休暇 週休2日。毎週水曜日+会社指定する日。年次有給休暇、忌引休暇制度、夏季休暇有ります。
募集期間 2022年11月08日(火)~2023年02月07日(火)
その他 ■応募条件

塩竈市外(条件不利地を除く)に住所を有し、任用後は塩竈市内に住民票及び生活拠点を移すことができる方

■待遇・福利厚生等

社会保険あり 賞与あり 残業手当 休日手当

1.社会保険、雇用保険、公務災害補償制度に加入します。

2.年次有給休暇、忌引休暇制度、夏季休暇有り。

3.市場が指定する⺠間賃貸住宅へ居住していただきます(※光熱水費・火災保険等は自己負担)

4.業務用パソコンを貸与します。

5.消耗品・事務用品は活動費の範囲内で支給します。

交通費:距離に応じて月額10000円まで支給
会社情報
会社名 協同組合塩釜水産物仲卸市場
住所 宮城県塩竈市新浜町 1 丁目 20-74
Webサイト https://www.nakaoroshi.or.jp/
その他 TEL:022-362-5518 (7:00~13:00)
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