【宮城/漁師求人/養殖】夢はハワイへ社員旅行!? 海苔と人をこよなく愛する海苔漁師が描く理想の会社像

渡波の海苔

海苔養殖業を営む相澤充さんは、石巻の渡波という地域で暮らし働いている。
波が渡ると書いて「渡波」―。なんとも漁師町にぴったりの名前だ。
石巻の市街地と漁村が多数点在する牡鹿半島との間に位置するこの地域には、40年以上前までは魚市場が存在し、現在石巻の魚の水揚げや競りを一手に担っている「魚町」の魚市場にも引けを取らない水揚げ量を誇っていた。町には活気に満ちた商店街があり、映画館は3館もあった。「渡波に行けば仕事に困らない」とも言われていた町だ。今でこそ魚市場は「魚町」に集約されたが、いわゆる漁村と呼ばれるようなこじんまりとした雰囲気ではなく、家や店が立ち並び、港町だった頃の風情と誇りが今も息づいている。

 

楽しく頑張るから、笑顔が生まれる

相澤さんは海苔漁師の家に生まれ育ったが、高校を卒業すると車のパーツの販売などを行う会社に就職した。その時はまだ、漁師を継ぐか継がないか、はっきり決めてはいなかった。父親からの無言のプレッシャーは感じていたが、働いていた会社はとてもアットホームだったし、車のパーツ屋という仕事に楽しさを感じていた。

「営業職だったんだけど、別に売れなくても給料は変わんないの。だったらがむしゃらに頑張ってみようと思ったんだよね」という言葉が相澤さんらしい。反対の考えになってもおかしくないのに。相澤さんは、そういう人だ。いつも自分にできることをがむしゃらに頑張る。それも、肩ひじ張って頑張るのではなく、仲間と冗談を言い合うような“遊び心”も忘れない。だから、相澤さんの周りには自然に笑顔が生まれる。

 

正直キツイこともあるけれど…

転機は21歳の時。祖父が倒れたのをきっかけに会社を辞めて漁師を継ごうと決意した。会社の人たちもパーツ屋の仕事も好きだったので離れるのは寂しかったが、海苔漁師の仕事も実際にやってみるとなかなか面白かった。

漁師と言うと豪快なイメージがつきまとうが、海苔の養殖はとても繊細で、海苔の赤ちゃんがまだ顕微鏡でしか見えないほど小さなところから始まる。8月末頃、その小さな赤ちゃんを養殖用の網に付着させてやる「陸上採苗」という作業からスタートし、9月半ばになるとその網を遠浅の海へ張り出し、網を海面から上げて乾燥させたり濡らしたりを繰り返すことで、強い苗に育てる。この過程を「育苗」と呼ぶ。

この時網を張るのは、石巻の海ではなく日本三景の松島があることでも知られる松島湾だ。穏やかなこの湾が育苗に適しているためだ。また宮城県下の海苔は全て、この育苗を松島湾で行うのだが、年に数週間だけ現れる海苔網の絨毯を目当てに松島湾を見渡すホテルの予約を取る観光客もいるという。

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海苔が育ち、刈り取りできるようになるのが大体11月頭ごろ、そこから4月までは、悪天候の日以外は毎日早朝に海へ刈り取りに出て、それを自宅にある数千万円もする巨大な機械で異物を取ったり、刻んだり、練ったりして、紙すきの容量でシート状に加工するために乾燥機で乾燥させていく。見慣れた四角形の板海苔が出てくる頃には、父親に工場を任せてまた海に戻り、今度は海苔網の洗浄や手入れを怠らない。

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多い日には1日10万枚もの海苔を生産するので深夜まで工場の灯りが灯っていることも珍しく無い。海苔の最盛期は冬なので、なかなか正月休みも取ることが出来ないし、真冬はマイナス5度くらいまで気温が下がることもある。時には海に出たくないと思うこともあるが、「俺の海苔を持ってるやつがいる」と思うと頑張れる。「それと、根本的に海が好きなんだよね!じゃなきゃできないんじゃないかな」。と、相澤さんはこともなげに笑った。

渡波の海苔

怒涛の刈り取り期が終われば、5月~7月の間は少しゆったりできる時期だ。網の修理や筏の掃除など主に陸上での作業はもあるものの、朝8時から働いて午後3時に終わる規則正しい生活に戻る。それまで忙しくて家族との時間もろくにとれない日々だった分、数日休みを作って家族で出かけたりできるのもこの時期だ。そうして次のシーズンへの鋭気を養う。

 

手をかければその分海苔も応えてくれる

渡波の海苔

そんな海苔養殖のやりがいを相澤さんに伺った。

「海苔が育っていく段階を見るのが楽しみだし、面白いんだよね。半日風が吹けば海苔の質は変わって来るし、小さかった赤ちゃんがお兄ちゃんになって大人になって、おじいちゃんになっていくみたいな。それは漁船魚漁では味わえない所でしょ。海苔は手をかけるかかけないかで質が大きく変わってくる繊細な海藻だから、手をかければその分海苔も応えてくれるってことなんだよね。」

そう話す相澤さんの目は優しく笑っていて、あぁ、この仕事が本当に好きなんだなぁと感じる。

 

お客さんというよりも、親戚という感覚

渡波の海苔

漁師一筋で生きている人がほとんどなこの業界で、ほかの仕事をしていた経験は漁師の仕事にも活かされている。営業職をしていた頃に培ったコミュニケーション能力などももちろんだが、お客さんに喜んでもらいたいという発想、食べてくれる人がいるから頑張れるという視点は、普段漁協にまとめて海苔を買い取ってもらい、その先の消費の流れを見ることのない漁師の世界ではなかなか生まれない発想なのかもしれない。

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その証拠に相澤さんは、海苔を食べてくれる人との関係をとても大事にしている。お客さんに海苔を発送するとき、「食べてくれてありがとう」「心を込めて作りました」「今日の海苔の様子はね。」「風が強くて仕事がはかどらなかったよぉ。」などなど、一人一人に手書きのメッセージを同封するのだ。相澤さんの書く筆文字は、力強くて温かい。その気持ちが伝わるからか、相澤さんには全国にファンが増え続けている。どんなに忙しくても、海苔を気に入って直接お店に買いに来てくれる人や、電話をかけてきてくれる人との会話は宝物だという。「お客さんというよりは遠くにいる親戚みたいな感じなんだよね、ついつい話が長くなっちゃって」と相澤さん。インタビュー中も話が途切れることが無いわけだ。

 

固定観念に縛られない挑戦

渡波の海苔

そんな相澤さんが作る人気商品が「おやつ海苔」。焼き海苔に、オイルを塗って塩や唐辛子、わさびや梅などの味をつけたもので、おやつ海苔という名前の通り「手軽に食べられる海苔」がコンセプトになっている。美味しい海苔を気軽に食べてもらうことで、もっとたくさんの人と繋がりたいという想いから、仲間の漁師たち3人で塩、オリーブ、唐辛子と味の担当を決め、3個セットでネット販売を始めた。

渡波の海苔

従来の味付け海苔は、質のあまりよくない海苔に味をつけることで美味しく食べてもらうことが狙いだが、おやつ海苔は“一番摘み”と呼ばれる、シーズンで一番最初に摘み取った新芽の海苔しか使っていない。海苔は一度刈ってもまた生えてくるので、同じ網から大体10回ほど刈り取れるのだが、お茶と同じで新芽が一番柔らかくて香りも高く、味も濃い。その海苔の風味を消さないよう控えめにつけられた味のバランスは絶妙だ。

渡波の海苔

切り絵作家さんに作業の様子を見学に来て貰って、それぞれの家の日常を切って貰ったオリジナルラベルも可愛らしい。相澤さんはこんな風に新しい取り組みにどんどんチャレンジしていく。固定観念に縛られない。

 

海苔を通して人を幸せにする、そんな会社を作りたい。

これからどんなチャレンジをして行くのか聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「今まで個人事業としてやってきたけど、会社にしたいんだよね。社長も従業員も同じ目線で働ける、『ここで働くのおもせよね(面白いよね)』と思ってもらえるようなさ、仕事を楽しめる会社。」

「例えばね、みんなで頑張って売り上げが上がったとしたら、その利益は会社が独り占めしちゃうんじゃなくて、頑張った見返りもみんなで共有したいんだよね。だから、一緒に働く人も、稼ぐというより海苔を通して人を幸せにする方へ一緒に向かっていける人がいいな。みんなで同じ方向に向かっていける人。あとは海が好きで、面白くお酒が飲める人かな(笑)あ、それから社員旅行は毎年ハワイに行くの。それが実は一番の楽しみかも(笑)みんなで行きたいんだよねー、社員旅行♪」

どこまでも、楽しむことを忘れない。話している間、相澤さんの目は終始少年のようにキラキラしていた。

渡波の海苔

(取材日:2017年1月14日 文:鈴木陽子 写真:Funny!!平井慶祐)
募集情報
給与 18万~25万円
※6ヶ月の試用期間中は月収16万円
※経験・能力により昇級あり
勤務地 宮城県石巻市大宮町
勤務時間 10月〜4月(7ヶ月)5:30〜15:00  5月〜9月(5ヶ月)8:00〜16:00
休日休暇 10月〜4月 月4日(悪天候等で出漁できない日を休日とします)  5月〜9月 日曜•祝日休み、 お盆休み、正月休みあり
募集期間 2017年01月24日(火)~2019年02月17日(日)
その他 【仕事内容】
海上作業:網の張り込み、筏の設置、収穫など
陸上作業:海苔の運搬(2トントラック使用)、網や筏の点検•補修、出荷、発送
会社情報
会社名 玉竜丸
住所 宮城県石巻市大宮町3-13
選考方法
選考方法 ※新型コロナウィルス感染拡大防止措置として、現地対応(面談・研修)の受け入れ時期を慎重に判断させていただいております。お電話やビデオ電話などでの企業説明や相談なども行っていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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