株式会社大吉丸水産は2021年4月、法人化に踏み切りました。
法人化の背景には「ただの従業員としてではなく、漁師である自分たちと同じ思いで牡蠣養殖に取り組み、考える人に漁業に打ち込んでほしい」という代表漁師の明確なビジョンがあります。
新規参入のハードルが高い養殖漁業で、事業継承も念頭においた求人募集は魅力的です。
漁具を一から揃える負担も、自らの漁場を得られるか分からない不安もありません。
(株)大吉丸水産が牡蠣養殖を行っている地域では、現在使われていない漁場を活用して牡蠣の生産量を増やせる可能性も残されています。
一人前の仕事ができるようになった時、その場所で舵取りをするのはあなたかもしれません。
外国人技能実習生や牡蠣剥きの女性陣とワンチームで取り組む(株)大吉丸水産は、「真面目で性格がいい、海好きな人」を募集しています。
あなたが漁師になる夢を叶える舞台は、穏やかな海上に点在する大小の島々が美しい松島の宮戸島。
いち従業員ではなく、牡蠣養殖業の事業継承を視野に、水産業にチャレンジしてみませんか?
多様な仲間が集う、東松島市宮戸の牡蠣養殖
日本三景松島の東端の奥松島に位置する「宮戸島」は、松島湾内最大の島です。
大きく4つに分かれた島の集落は「四ヶ浜」と呼ばれ、松島湾に面した里浜、南に位置し太平洋に面した月浜・大浜、そして東の室浜は石巻湾に面しています。
この室浜の牡蠣養殖漁師・奥田功雄さん(65歳・写真右)は相棒の千葉幸一さん(40歳・写真左)と一緒に、2021年4月に株式会社大吉丸水産として法人化しました。
協働ではなく法人化を選択したのはこれから先、牡蠣養殖を希望する人が来たときに、ただの従業員としてではなく、同じように牡蠣養殖に取り組み、考える人に漁業に打ち込んでほしいという思いがあったから。
船上のアンサンブル
大小さまざまな形の島々が浮かぶ回廊のような海を抜けると、そこはもう外海。連なる数十個の丸いブイが、波間に浮かんでいます。
船には奥田さんと、中国から来た外国人技能実習生(※1)が2人。
養殖筏に着くと、カゴをすかさず用意し、綱を引き寄せ、引き上げるクレーンの操縦とそれぞれが手際よく、動きに淀みがありません。持ち場はある程度決まっているようですが、すかさず必要だと思われる場所に移動しています。
機械で巻き上げられたロープに着いた牡蠣は、きれいなボール上のひと塊。
その塊は船上でバラされていきます。この日は海に下げた30本のロープに着いた牡蠣を引き上げ、1時間半ほどでカゴ59杯がいっぱいになりました。
別の場所で水揚げ中の千葉さんが乗る船からは、大きなラジオの音。
海風に乗って聞こえてくる早朝ラジオのDJに、互いの船同士で声を掛け合う中国人実習生。
なにを話しているのかは分かりませんが、なんだか和やかな雰囲気になります。
1日の作業は、朝に漁に出る前に前日に水揚げした牡蠣剥き用の牡蠣を用意し、5時に出港。7時ごろまで水揚げ。
その後、選別をし、午前中出荷までの時間牡蠣剥き。あと片付けをして14時半ごろに作業が終了します。
選び抜かれたカキのタネ
普通、海に吊るされた牡蠣にはどれが牡蠣だかわからないほどいろんな海の生物が付着します。
しかし、奥田さんが水揚げした牡蠣を見ていると、ひと塊がなんだかキレイなボール状です。
「宮戸の牡蠣は高値で取引され、大手の百貨店などに卸してる。牡蠣は種で決まるので、牡蠣の種を付着させる原盤ひとつに牡蠣の種20〜30個が目安」
「試しに一台だけ種の厚い(種の量が多い)のを使ってみたらダメ、話になんねえ。もともと海苔やってたから選別するクセがついてる。きちんと選別すると、育ちが違う」
たくさん種が付いていると良いというものでもありません。
適切な量でないと、栄養の取り合いになり、育ちが悪くなってしまいます。
奥田さんが指揮をとりながら、種の数を細かく選別し、良質な牡蠣になるよう小まめにチェックしています。
「湾内で仮植してるので、フジツボとか種牡蠣についてダメんなっから、海中の高さを調整して」
「牡蠣はひとりで大っきくなんだって人もいるけど、本当は違う。その年によって多少は違うけども、種の厚さによっても違う。うちは、薄いやつを使ってる。少なめの方が、牡蠣がよく育つ」
生産者として、まずはしっかり牡蠣養殖に取り組む意識。奥田さんの子どもの頃の記憶では、奥田家でも昔は牡蠣養殖をしていたそうですが、昭和30年台に海苔需要が増し、一時は海苔に転向。
その後、海苔漁が全国的に大型化していき、20数年前に牡蠣に再転向。
宮戸地区では牡蠣養殖は実質2人だけなので、他の地域のベテラン牡蠣漁師に教わることも多いようです。
(牡蠣養殖についてもっと知り方はこちら)
相棒、法人化、そして事業継承
震災後、沿岸部の漁港は壊滅状態。海沿いにあった家々も、転居を余儀なくされました。
宮戸島室浜でも、みんなが散らばってしまったこの浜をどう維持していくかと話し合いがなされました。
漁業権は基本的に自然に溶け込んだ職住一体の暮らしを営み、海と共に生きる漁業者を守るための権利。
浜によっては移転地が離れてしまうこともあります。
様々な意見が出されましたが、とにかく浜から居住地が変わっても、浜に作業場があればいいと決まりました。
「震災当時、中途半端な年齢(55歳)だったから、今後どうしようかなって。一人でやっているとキツいから、まだ自分も動けるうちに一緒にやる人が出てくればいいかなと……」
元々、海苔漁師をしていた千葉さんは、牡蠣の繁忙期に奥田さんのところにアルバイトに来ていました。
その千葉さんに奥田さんが声をかける形で、震災後に一緒に牡蠣養殖をすることに。
奥田さんと一緒にやろうとしたきっかけは?という問いに千葉さんは、「バイトもしていたから、なんとなく」
しかし、牡蠣剥き場でのやりとりは、信頼関係の賜だと思わせてくれます。
そして、法人化……。
「なんで法人化したかって? 会社が浜にあれば漁がしたい人が入って、会社としてずーっと継いでいければいいかなって」と、
軽やかに答える奥田さんですが、それほど単純なものではありません。
もともと奥田家の資産であった牡蠣養殖業のすべてを、法人化することで会社の資産になります。
これまでの漁業は家業を引き継ぐ形が多く、新規で漁業権を取得するには様々な障壁がありました。
しかし法人化することで、漁師になりたいと望む人への事業継承をしやすくすることまで念頭に置き、奥田さんは『法人化』に踏み切ったのです。
それも奥田さんの後継を担う千葉さんの存在がなければ、法人化という考えにも至らなかったでしょう。
「牡蠣養殖では、協業はあるけど複数の漁業者が集まっての法人化は珍しい。この浜(室浜)は決めるときはきっちり話し合うけど、全員が納得するまで議論して、その後の対応は柔軟にできる」
「理想はね、俺も歳だから元気なうちにコウイチと一緒にやってくれるような若い人を求めてんのさ。理想、はね。やっぱり最低限、芯になる人が2人か3人はいないとダメだから」
と奥田さん。
「今は2人で量が出せるから問屋も付いてくれて、高値で買ってくれる」
「問屋には物量がないと相手にされないから、それを維持できるように、新しい人に入ってもらい引き継ぎ、広げていけたら。もう少し販売数が増えていけばいいかな」
法人化することで、新しい人も漁業に入りやすくなるし、空いている漁場を活かすことができます。
ひいてはそれが、販売数の増加にも結びつくはずです。
人と牡蠣の生物多様性
明るく話し好きな奥田さんと、物腰の柔らかい千葉さん。そして、中国人実習生の笑顔。
ホッと和やかな大吉丸水産の明るい職場の雰囲気は、中国人実習生がつくっているようです。
奥田さんと千葉さんの会話には、
「大柄で作業の所作はゆっくりしているのに、誰よりも牡蠣剥きが早い中国人実習生」
「船が好きで釣りが好きで、いったん本国に帰ってからも、日本語を勉強し直し、また日本に戻ってきたい中国人実習生」
など、実習生列伝が飛び出すほど。
中国人実習生のほかに、牡蠣剥きを手伝っている女性陣も一緒に、大吉丸水産のこれからの仕事運気も上々になる、はず。
千葉さんは新規就業を目指す若者に対して
「海の上は危ないので、奥田さんは仕事には厳しいよ。でも、理解できるまで説明してくれる。海好きな人はぜひ」
「ただ雇われているのでいいというのではなく、一緒に牡蠣養殖について考え、行動してくれる、真面目で性格がいい人に来て欲しい」と奥田さん。
今、環境問題を語る上で欠く事ができない<生物多様性>。
牡蠣礁の研究していたドイツの動物学者が、「一つの場所に生物種間に相互関連のあることから生物共同体(生物群集)」の概念を唱え、それを基に生物多様性という考え方が生み出されたといわれています。
奥田さんが丹精かけて育てた牡蠣を種に、これからも多種多様な人が集う豊かな生態系は、海が大好きな仲間のために引き継がれていくことでしょう。
(※1)外国人技能実習制度は、<我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。>と記されています(厚生労働省H Pより抜粋)。期間は3年で、実技試験受験で合格すると2年間の在留期間の更新ができます。
(文=藤川典良 撮影=Funny!!平井慶祐)
※取材は2021年6月に行いました。
給与 | 時給923円~1000円 試用期間:5ヶ月 時給923円 月収は変動あり(20万円前後) 昇給:原則年1回(10月) (その他能力に応じて昇給) 賞与:なし |
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勤務地 | 宮城県東松島市宮戸字室浜浜20番地 |
勤務時間 | 10月〜3月頃は5:00~15:00/4月〜9月頃は7:00〜15:00(休憩は下記) |
休日休暇 | 日曜日/その他天候により休み/年末年始休暇(12月31日〜1月3日)/夏季休暇(8月15日〜8月16日)/例年3月中旬に長期休暇有り(1週間程度) |
募集期間 | 2024年05月17日(金)~2025年12月31日(水) |
その他 | 勤務時間: 10~3月頃 5:00~15:00 4~9月頃 7:00~15:00 休憩時間: 10:00~10:20 12:00~13:00 休日: 日曜日 その他天候により休み 年末年始休暇(12/31~1/3) 夏季休暇(8/15~8/16) 例年3月中旬に長期休暇有(1週間程度) |
会社名 | 株式会社大吉丸水産 |
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選考方法 | TRITON JOBから応募いただきます ▼ TRITON PROJECTよりメールにて連絡をします ▼ TRITON PROJECT 公式LINEを追加いただき、チャットにてやりとりを開始 ▼ LINE内で、サポート窓口と電話での簡易面談 ▼ LINE内で、エントリーシートの提出をお願いします ▼ 書類選考・現地での面談・研修などの調整をします ▼ 選考の結果、合否をお知らせします |
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