石巻市街地から車で40分。
雄大な北上川を横目に車を走らせ、釜谷トンネルを抜ければ、南三陸金華山国定公園の南端に位置する雄勝地区にたどり着きます。
2005年に石巻市と合併した旧雄勝町は、ホタテや銀鮭などの養殖がさかんな漁業の町。太平洋に面し、そして町の面積の8割が山林という、山と海に抱かれた小さな町です。かつては雄勝湾をぐるりと囲むように、家々や小さな商店が肩を並べていました。震災前、4,300人ほどだった町の人口は、2023年3月現在、1,050人にまで減少してしまいました。
目に飛び込んでくるのは、山々の緑と、澄んだ海の青。
どこまでも力強い、生命の色です。
人口は少ない雄勝町ですが、この町の人、そしてこの海に惚れ込んで飛び込んでくる若者は後を絶ちません。2020年には、大阪から移住した若者が正組合員資格を取得し、自分の牡蠣養殖をはじめました。
▶︎関連コラム:海からはじまる物語
石巻市雄勝町は、震災を乗り越えて強く生きる人々と、そこに新しく飛び込んできた若者たちが、新しい事例を一つひとつ作り上げる冒険の「はじまり」の場所。
ワクワクするような、自分らしい生き方がきっと見つかるはずです。
たくさんの人との出会いが、
漁師として変わるチャンスをくれた。
「震災は何かを変えるチャンスでもあった」と話すのは、今回新人漁師の育成に名乗りをあげた末永陽市さん。
宮城県漁協雄勝町雄勝湾支所の運営委員長も務める、浜のリーダーです。
高校卒業後、マグロ船の乗組員として経験を積み、生まれ故郷の雄勝町立浜で家業を継ぎました。現在は、銀鮭養殖をメインで手がけています。
「うちは古くから続く家で、元文2年からの記録があるんですね。江戸時代なので、ざっと言って300年前。東日本大震災は『千年に一度の大災害』と言われているので、自分はご先祖様も経験したことのない津波を経験したわけです。家、船、漁具も全部なくなって、マイナスからのスタートでしたが、たくさんのボランティアさんに助けてもらって、たくさんの人と繋がることができた。これは、チャンスなんだと。その前から、今までのやり方の何かを変えたいと思っていたけれど、今ひとつ踏ん切りがつかなくて。『津波にやられっぱなしで、なにがおもしろいんだ』『もとに戻すんじゃない、今までとは違う漁師になるんだ』という思いが、ふつふつと腹の中から湧いてきたんです」
キャッチコピーは「海から45秒のうまさ」
どう売るか考えることが、持続可能な漁業になる。
銀鮭養殖の繁忙期は、春から夏にかけて。
この時期はスタッフも数名雇って、選別や水揚げを行います。
▶︎参考記事:知りたい!銀鮭養殖のすべて
写真は銀鮭の選別の様子。大きな個体の魚を見極め、タモを使って、後ろにある小割の生簀へ移すという作業です。銀鮭を水揚げするまでも手間暇のかかる大変な作業ですが、陽市さんは震災後、加工場を建て、6次化に挑戦しています。
「育てて終わりじゃない。そのあとどう売るかが大事」
水揚げした魚は、浜からすぐの場所にある加工場に運ばれ、パートさんの手でフィレに仕立てたり、塩漬けにしたりと、オリジナル商品に変化を遂げていきます。鮮度の良い状態で、無添加にこだわった商品を提供する。それが、陽市さんのこだわりです。
こうして漁師の仕事の傍ら、商品開発、営業販売、店舗への納品までをこなす陽市さん。「忙しくて大変だよ」と言いながらも、どこか楽しそう。
陽市さんの顔写真が入ったインパクト抜群の商品は、道の駅の店舗やふるさと納税の返礼品としても大人気。ボランティアで知り合ったデザイナーさんやカメラマンさんが、商品開発やプロモーションにも惜しみなく協力をしてくれているそうです。
陽市さんのもとでの仕事は、基本的には午前中で終わります。
銀鮭養殖のほかに、ホヤやホタテ養殖も少しやっているので、それらに関わる海や陸作業がメインですが、漁師の仕事が忙しくない時は、一緒に加工場の仕事を手伝ってもらうこともあります。それでも午後の時間は十分あるので、副業もOK。
また、銀鮭が終わった8月は、長期の休みも取得できます。旅行が好き!なんてひとにはもってこいかもしれません。
「雄勝は何もないところだけど、それがいいっておもしろがってくる人も多い。こういうところで働くことを目一杯楽しんでもらえるといいんじゃないかな。楽しんでもらえるように、まだまだいろんなことに挑戦していきたい」
もうすぐ東京で武者修行中の息子さんも帰ってくるそう。
これからどんどん、新しい挑戦がはじまっていきます。
「もし、将来的に自分の漁業もやってみたいという人がいたら、それも応援できると思います。新しい漁師の楽しみややりがいを一緒に見つけられたらいいよね。一度きりの人生だから」
千年に一度の大災害を、チャンスに変える。
そして100年後、200年後にも、この漁業が続いていくように。
一緒にこの浜から、新しい挑戦をはじめてみませんか。
※取材撮影2023年1月に行いました。
(文=高橋由季/写真提供=末永九兵衛商店提供 ※一部フィッシャーマン・ジャパン撮影)
募集職種 | 漁師 |
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雇用形態 | 正社員・フルタイム |
給与 | 月収18万~23万円 ※試用期間3ヶ月は時給1,200円 ※業績に応じて賞与あり ※年次昇給あり |
福利厚生 | 資格取得支援あり(船舶免許・フォークリフトなど), 有給休暇あり, 昇給あり, 寮あり(TRITON OGATSU), 水揚げによりボーナスあり, 作業内容に応じて食事提供あり, 通勤手当, 社会保険完備 |
仕事内容 | 銀鮭養殖 |
勤務地 | 宮城県石巻市雄勝町立浜 |
勤務時間 | 11〜3月6:00〜9:00(銀鮭餌やり他)、4〜7月3:00〜9:00(銀鮭水揚げ他) 、8〜10月7:00〜11:00(加工作業) |
休日休暇 | 6〜7月は繁忙期につき固定給休なし(申告制)、 8〜10月土日休、11〜5月日曜休 ※盆・正月休(3〜4日)あり、 8月に長期休暇取得可能 |
募集期間 | 2023年06月01日(木)~2023年09月30日(土) |
その他 | ※4~9月ホヤ水揚げ(金曜朝のみ)、11~1月ホタテ水揚げ(金曜朝のみ)あり ※勤務時間は作業によって異なります。水揚げ以外にも年間を通して漁業の作業や、 海産物の加工作業あります(実働3~8時間程度) |
会社名 | 末永九兵衛商店株式会社 |
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Webサイト | http://kuhe.co.jp/ |
選考方法 | 応募 ▼ フィッシャーマン・ジャパン担当よりメールにて連絡 ▼ LINE登録 ▼ 写真付履歴書の提出(書類選考) ▼ オンライン面談(事務局、募集主と複数回行う場合があります) ▼ 現地面談 現地研修(1週間程度) ▼ 内定 |
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